■■■「アイスクリーム殺人事件/トム・ホランド」<13 thirteen ~マスターズ・オブ・ホラー2~>■■■
(55点/ファンタジーホラー)
十数年ぶりに生まれ故郷に帰郷し少年時代の旧友の葬式に参列したケントは、彼の子供時代の旧友たちが次々と得体の知れない死に方をしている事を知らされる。
葬儀の帰りに『アイスクリーム売り』の車を目撃した彼は、自分たちが悪ガキだった頃に引き起こしたとある事件を思い出し、『それが今回の事件に関係しているのではないか?』と疑い始めるが、やがて彼らの旧友にまた1人の犠牲者が出て、その付近にはまた謎の『アイスクリーム売り』の姿が…
世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」の2期シリーズである「マスターズ・オブ・ホラー2」より、トム・ホランド監督によるファンタジー風味のホラー映画です。
トム・ホランド監督は本シリーズでは今回から新たに参加した監督さんですが、『どっかで聞いた事があるんだけど、何を撮った監督だっけ?』と思いきや、「チャイルド・プレイ」とか「痩せゆく男」や「ランゴリアーズ」なんかを撮った監督さんなんですね。
なるほど言われて見れば、雰囲気がそんな感じではあります。
本編の方は、ややミステリー要素を含みつつ謎解き風に物語が展開していく訳ですが、邦題はタイトルで若干内容が読めてしまうのが勿体無いところですね。
まあサスペンスって程には、隠しておかないとならないような謎も無いんですが…
今回掲載しているカットにも登場する『ピエロ風の殺人鬼』やら、少年時代の旧友とかが登場する辺り、『S・キングの「IT」とかを意識してるのかな?』という印象を受けますが、ここ最近は「ランゴリアーズ」やら「痩せゆく男」キングの作品を監督してる事もありますし、キングに影響されたのか、或いは『キングっぽい作品が撮りたかった』のかな?
でも、実際の内容の方は「チャイルド・プレイ」的な、ファンタジー風味のある『やったもん勝ち』な感じの作品になってる印象です。
先述したとおり、物語の導入部で『ちょっとした謎解き要素』があるのですが、90分の尺の映画ならともかく60分の作品で通常の尺の映画と同じようなペースで謎解き要素を入れちゃったのはちょっと失敗かな?
導入部が妙に長くて、なんか『盛り上がる前にいきなりクライマックスに突入しちゃった』ような印象を受ける作品で、終盤の展開に『ちょっと唐突な印象』と『全体的な物足りなさ』を感じました。
ラストバトルのシーンはなかなか面白くて、オチも『そう来たか!』って感じで良い感じだったのですが、やっぱ中盤の盛り上がりの弱さが難点でしたね。
主人公や友人のキャラが書き込み不足な事もあって、結末でも『良かった』という気持ちよりも何か『釈然としないものが残る』感じなので、全体的に尺の不足が足を引っ張ってる印象です。
ホントは『90分ぐらいの尺で作る予定の映画』だったのかも?
総評としましては、とりあえず『ホラーとしての及第点』は満たしている作品だと思うのですが、全体的にコレといったパンチ力が無く決定打に欠ける作品といった印象ですね。
殺人ピエロのキャラクターも含めて、全体的にファンタジー的なノリが付きまとうために、純粋に『怖い作品』が観たい人には微妙かも?
とまれ観ても後悔するような内容では無いので、ビデオ化された際にはよっぽど変な組み合わせでも無ければ、普通にチェックしておいて良い一本だと思いますよ。