■■■「災厄の街/トビー・フーバー」<13 thirteen ~マスターズ・オブ・ホラー2~>■■■
(55点/モンスターホラー)
幼い頃に父と母を正体不明の『何者か』に自宅で惨殺された経験を持つケヴィンは、それから24年経った今も、街の保安官となり同じ一軒屋で暮らしていた。
彼は『何者か』の存在を恐れるあまり家のあちこちに監視カメラを仕掛けて、そのパラノイアが原因で妻や息子とも別居生活を送っていたが…
そんなある日、街中のあちこちで動機不明の殺人事件や自殺が頻発するという怪事件が発生。
彼は、それが24年前に自分の元に訪れた『何者か』の仕業であると直感で感じ取るが…
世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」の2期シリーズである「マスターズ・オブ・ホラー2」より、トビー・フーバー監督によるモンスターホラー映画です。
トビー・フーバー監督と言えば、ホラーファンなら知らない人は居ないであろう、「悪魔のいけにえ」や「ポルターガイスト」という傑作を撮った監督ですが、同時に『微妙な感じのB級映画映画』をよく撮ることでも有名なのですが…
本作は、どっちかというと『微妙なB級路線』に近い作品かなぁ?
本作は、簡単に言えば1人の男が正体不明の『何者か』と闘うというお話なのですが、怪物の正体が分からずに『なんだか良く分からないけど怖い展開』が繰り広げられる序盤の展開は面白いのですが…
物語が中盤に進んでも終盤に進んでも、怪物が『正体不明』のままなので、ちょっと正体不明すぎて緊張感というか盛り上がりに欠けるのは困り者ですね。
物語のスピード感の良さや展開の早さなんかは非常に良く出来ておりググッと引き込まれるようなノリですし、要所要所に見せ場を設ける事でお話を盛り上げる手法は相変わらず見事だなと思うのですが…
中盤が肝心の怪物が何をするのか、主人公が何をしたいのか…という事がイマイチ良く分からないシーンが延々と続くため、視聴者的にもどういう心構えでシーンを観れば良いかが分からず緊張感が持続しないのは困り者。
まあしかし、トビー・フーバーお約束である『夜の森を殺人鬼に追いかけられて逃げ惑うシーン』なんかがキチンとフォローされてたり、『投げっぱなしオチの達人』とも言えるフーバーらしい『ラストシーンでの暴力的なまでの投げっぱなしっぷり』は、賛否両論ありそうな結末ではありますが、個人的には結構好みかな?
こういうノリを忘れない辺りは、流石はフーバー監督といった感じですね。
尺を調整してもう少し分かりやすい話にすれば…とかも思わなくも無いですが、この監督のいつものノリからするに本作はいくら尺をイジっても同じようなノリの作品になりそうな気がするのも事実…
まあ、良くも悪くもフーバー監督の『微妙なタイプの作品』を圧縮して60分に詰め込んだようなお話といった感じですね。
総評としましては、いかにもフーバー監督らしい『イキオイだけ』の『投げっぱなし』みたいなノリを、まるっきりそのまま体言化したようなの作品です。
フーバー翁の『投げっぱなし映画』に耐性がある人ならば十分に楽しめるとは思いますが、普通にホラー好きの人が観ると『なんじゃコリャ?』と思ってしまうかもしれませんので、まあその辺はお好みでって感じですね。
「マスターズ・オブ・ホラー2」としてコレはアリか?と聞かれると、まあ、このシリーズを観る人なら『フーバー監督がどんな映画を撮るか』ぐらいは理解した上で観る人が多いと思うので意外と問題ないかも?
とりあえず『いつものB級ノリ』を予想しておけば、ある意味で失敗は無いですよ。