■■■「ノイズ/ブラッド・アンダーソン」<13 thirteen ~マスターズ・オブ・ホラー2~>■■■
(55点/サイコサスペンス)
コンピュータ会社で苦情処理部門の取りまとめを担当するラリーは、6歳になる息子を悪性腫瘍で亡くしてから『異常なまでに音に過敏な体質』になってしまう。
10m異常向こうの席の話し声やハエが手足をこする音までもが聞き取れるようになってしまった彼は、極度のストレスから徐々に神経をすり減らして行き仕事でも失敗を続けるようになり、やがて日常生活にも支障を来たすようになって行く。
彼の行動を見かねた上司は、彼にカウンセリングを受ける事を薦めるが…
世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」の2期シリーズである「マスターズ・オブ・ホラー2」より、ブラッド・アンダーソン監督によるサイコスリラー風のサスペンス映画です。
っていうか、ブラッド・アンダーソン監督って『誰だっけ?』と思いきや、「Session9」とか「マシニスト」とかを撮った割と新人の監督さんですね。
ホラーというよりも『独特な雰囲気のあるサスペンス映画』を撮る監督さんで、本作もそういう意味では『味のあるサスペンス映画』といった感じの作品になっております。
味がある設定として、本作の主人公の『異常なまでに音が聞こえてしまう』という設定はなかなか面白いと思います。
そのせいで主人公が徐々に神経をすり減らして行き、やがて『狂気へと駆られていく』というお話なのですが、流石はサスペンスが得意な監督さんだけあって『主人公の神経をすり減らしていく』描写の表現は非常に秀逸。
主演男優の演技派っぷりもあって、その迫力は『なかなかの物』です。
…が、それが『本作の面白さに直結しているか?』と言われると、どうにも少々微妙な所。
アイデアその物は悪く無いとは思うのですが、いかんせんストーリーに捻りが無くて先の展開が容易に読めてしまうため、サスペンスとしては面白味に欠ける印象で…
サスペンスとしてハラハラドキドキが無くて『1人の男が壊れていく様子を淡々と見せられる』だけの作品になってしまっているんですよね。
やや冗長ながら尺が短い作品なので途中で退屈するような事は無いものの、物語が余りに変化に乏しいのは少々苦しいです。
せめて、もうちょっと『登場人物の幅を広げる』なりして、もっと緊迫したシーンを多く持たせるようにすれば良かったかも?
総評としましては、確かにサイコスリラーとしての迫力はあるのですが、ホントに『迫力』だけで終わってしまった作品と言った感じですね。
『ストーリーにもう一捻りあれば、面白くなったんじゃないかなぁ』と思ので、ちょっと勿体無い印象を受ける作品でした。
まあこの辺の監督さんはまだまだ新人という事もありますので、今後の作品に期待ですね。