■■■「言葉なき隣人/ジョン・ランディス」<13 thirteen ~マスターズ・オブ・ホラー2~>■■■
(55点/サイコサスペンス)
娘を癌で亡くした事から立ち直る為に、心機一転してロスから郊外の閑静な住宅街デヴィッドとセリアの夫妻は、隣人のハロルドとの関係も良好で落ち着いた暮らしを取り戻そうとしていた。
しかしそんなある日、旦那のデヴィッドが唐突に行方不明となりセリアは不安から落ち込んだ毎日を送っていた。
隣人のハロルドは彼女を慰める為に自宅へと夕食に招待するが、彼の家には恐るべき秘密が隠されていたのだった…
世界的に有名なホラー監督が競演する「マスターズ・オブ・ホラー」の2期シリーズである「マスターズ・オブ・ホラー2」より、ジョン・ランディス監督によるサイコサスペンス映画です。
ジョン・ランディス監督というと「ブルース・ブラザーズ」なんかで有名な監督で、ホラーファン的には「狼男アメリカン」を撮った監督として知られていますが…
前シリーズではコメディ風ホラーの「ディアウーマン」という作品で楽しませてくれましたが、今回のシリーズも芸風は前作と同様で『ブラックなコメディテイストの強い内容』の作品です。
タイトルからも予測できる上に秘密でも何でも無いので言ってしまいますが、まあ要は『引っ越してきた先の隣人が殺人鬼でした』というような感じのお話なのですが…
しかし、コレが普通のB級ホラーならば『単なるサイコスリラー』で終わってしまうところなんでしょうが、本作ではブラックな要素が上手く加味されてコメディと化している辺りが如何にもジョン・ランディスらしく、隣人の殺人鬼の『脳内劇』とかがバカバカしくてなかなか笑えます。
また少し勘の良い人なら、割と序盤から『コレは一筋縄では行かなそうだ』というのが割と予想できると思うのですが、予想どおりに『ホントに一筋縄で行かない展開』を見せてくれるのが本作の面白い所でしょう。
ただ、コメディホラーとしては楽しい部分が多いものの『怖さ』の点に関しては皆無と言っていいようなノリですので、正統派ホラーとかそっち方面を期待している人は要注意。
でもまあ、ホラーファンの人なら『ジョン・ラインディスが監督』って時点で、マトモなホラー的な要素は期待していないと思われますので、あまり気にしなくても良いかな?
不満点を上げるとすれば、前シリーズの「ディアウーマン」のような一発ネタ的なインパクトに欠ける点は残念な所です。
欲を言うなら、殺人鬼の性癖にもう一捻り欲しかった…
総評としましては、実に下らないながらも『非常に安心して観れるホラー映画』といった感じの作品です。
『下らない』といっても『ツマんない』訳ではないので、例えるならば『良い意味で下らないホラー映画』とでも言うような一本だと言えるでしょう。
凄く面白い訳でも無いですが『作品の安定感』としてはシリーズの中でも随一の作品で、レンタルで何の作品とセットになったとしても問題なく楽しめると思いますので、ビデオ化された際には『とりあえずレンタルする候補』に入れておいて間違いは無い一本だと思いますよ。