NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「プレステージ」(60点/サスペンス)

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■■■「プレステージ」■■■
(60点/サスペンス)

 19世紀末のロンドンで、新進気鋭のマジシャンであるボーデンとアンジャーの2人は、互いにマジックの腕を競い合い切磋琢磨していた。

 しかし、そんなある日、アンジャーの妻が脱出マジックに失敗し死亡するという事故が発生。

 事故の原因がボーデンにあったと思い込んだアンジャーは、ボーデンへの復讐へと取り憑かれるようになり、互いに相手を落としいれようと反目しあうようになっていくのだった…


 とある事故が原因で反目しあっていく2人のマジシャンの抗争を描いた、サスペンス映画。

 2人のマジシャンが主役という事もあって、公開前からそのトリックの意外さが話題となっていた本作なのですが…

 いやまあ、確かに意外って言やぁ意外なんですが、何というかあまりにも突飛すぎて『そんなのアリ?』的な展開で、逆に『何でもアリ』すぎるノリなので驚きは少ないかも?

 少なくとも正統派ミステリーを期待してると、少々面食らうような内容ですね…

 まあトリックの是非は置くとして、本編の方も素直に面白い作品かと言われると若干微妙な作品です。

 本作も、この手のサスペンスにありがちな、若干『時系列が入り乱れて進行する』という手法を取っているのですが、時間の前後に加えて時折『主人公たちが変装する』ようなシーンがあるため、序盤は特に話の全体像が見え難いのがストレスが溜まります。

 また主人公2人の小競り合いのシーンが長くて、中盤の展開がやや冗長で核心のシーンに迫るまでに、ちょっとダレてくるのは辛いところ…

 全体的な尺の長さが序盤の話の分かり辛さに拍車をかけている気がするので、もうちょっと贅肉を削ぎ落として素直にミステリーとしての謎解きを楽しませて欲しかった。

 しかしミステリとしての完成度はさておき、エンターテイメントとしての完成度の高さは、なかなか良く出来ております。

 どことなく胡散臭い19世紀末の場末的な雰囲気や、様々な手段を駆使して相手を陥れようとする二人の抗争はなかなか見所があって面白いですし、手品のトリックを上手く本編のストーリーに組み込んだ展開も良く出来ていると思います。

 惜しむらくは、主人公達のキャラクターにもう少し魅力があればもうちょっと良くなったと思うのですが…何か二人とも性格が悪くて、イマイチどちらも応援する気になれないのが困ったところかも?


 総評としましては、『正統派ミステリーとしてはどうよ?』と思うような作品ですが、純粋にエンターテイメントとして観るならば、そこそこ楽しめる良作だと思います。

 個人的には、もっと「F/X 引き裂かれたトリック」みたいなノリを期待してたので、ちょっと肩透かしな感じではありましたが…

 まあ、全体的な完成度は低くない作品ではありますので、普通にサスペンス映画が好きならば『とりあえず観ておいても良いんじゃないでしょうか?』って感じの一本でした。