■■■「スリザー」■■■
(55点/SFモンスター)
鹿狩りの解禁を前に活気付くアメリカ南西部のウィーズリーの街に謎の隕石が落下する。
その数日後、コミュニティスクールで教師を勤めるスターラは、自分の夫のグラントの様子がどこかおかしくなった事に気付く。
彼女の夫は、宇宙からやってきた謎の寄生生物「スリザー」によって寄生され操られていたのだ。
スターラは警察署長のビルと共に逃げ出して行方知れずとなったグラントを、なんとかして捕獲しようとするが、その間にも「スリザー」は恐るべき勢いで繁殖しつつあったのだった…
宇宙から訪れた謎の寄生生命体による侵略を描いた、SFモンスターホラー映画。
いわゆる『人間乗っ取り』系のSFホラー作品なのですが、「ボディスナッチャー」のような入れ替わりタイプではなく、D・クローネンバーグの「シーバース」のような寄生生物が、寄生した人間を支配下においてコントロールしていくというような感じのお話です。
パッケージだけ観ても分からないですがノリ的には正統派のモンスターホラーという訳ではなく、どちらかというとコメディ風味のホラー映画といった感じですね。
といっても普通に残虐描写とかもあるので、ホラーが苦手な人にはオススメしませんが…
肝心の中身の方はというと、なんというか物凄く『平均点』な感じのホラー映画ですね。
モンスターの特徴が結構特殊で、寄生した生物と意識を『同化』させて支配していくという設定のお陰で、寄生された旦那と妻(ヒロイン)とのやりとりなんかが物語りに絡んでくる辺り、いわゆる普通の『侵略ものSF』とは一味違うノリのお話になっているのは良いアイデアだと思うのですが…
アイデアとして斬新でも、それが『物語の「面白さ」として直結しているか?』と言われると、これが何とも微妙なところ。
他にも『触手怪人・イカ男』とでも言うようなモンスターの異様なデザインや、それがCGでウネウネと動きまわる様子は良く出来ていますし、寄生生物に寄生された鹿が肉食になって人間を襲うシーンなんかもインパクトがあるのですが…
何か、どれも『一発ネタ』として終わってしまっている感じで、映画そのものを高評価する程のポイントには成っていないんですよね。
主人公を含むメインキャラも今ひとつ魅力に欠ける面々ばかりで、『え、あんたメインキャラだったの?』というような感じで、何だか影が薄い。
コメディ要素にせよホラー要素にせよ、もうちょっと『突出した何か』があれば割と良くなったとは思うのですが、別にダメ出しするような特別に悪い部分がある訳でもないので、ちょっと勿体無い感じかも…
総評としましては、別に悪い作品ではないのですが、全体的に『どうにも印象に残らない作品』というのが正直な感想です。
別段オススメする程の内容でも無いですが、この手のジャンルが好きならば普通に観ても後悔はしないレベルではありますので、『観るかどうかはお好みで…』と言った感じの一本と言えるでしょう。
SFモンスターホラー系のお話が好きな人ならば、まあそこそこは楽しめると思いますので、気になるならば観ておいても良いんじゃないでしょうか?