■■■「グリズリー・プラネット」■■■
(45点/モンスター)
2068年、資源の枯渇や様々な環境問題により危機に瀕した人類は、資源の確保と地球外の惑星への移民を計画としたオキシジェン計画を発動。
空間転送装置を用いて2万光年かなたの地球外惑星をテラフォーミングで環境改造する事により、外惑星への人類の移民を計画していた。
テラフォーミングが成功した唯一の惑星は、惑星「オキシジェン」と名付けられ、現地の調査の為に調査団が派遣されるが、突然の装置の故障によって帰還の手段を失ってしまう。
しかも、その惑星には地球で太古に絶滅した洞窟熊に似た怪物が徘徊している事が判明。
更にこの惑星が地殻変動により崩壊の危機が迫っていると知った彼らは、何とかしてバックアップの転送装置のある別のポイントまで移動して死の惑星からの脱出を図ろうとするが…
地球外惑星での探検を題材とした、アメリカのTV映画向け作品として作られたSF冒険映画風のモンスターホラー映画です。
この配給元(タキコーポレーション)の映画としてはお馴染みの「Sci fi pictures」の作品で、良くB級SFを観る人ならお馴染みのブランドだと思うのですが、まあ内容の方も割と微妙で「Sci fi pictures」シリーズでは『お馴染みのレベル』といった所。
環境をテラフォーミングする話が出てきたり、空間転移装置を使って太陽系外の惑星へと行ったりと、B級映画の割には意外と細かくSF的な設定が作られてて、その点に関しては割と好感触。
ストーリーに関しても『単純なサバイバルもの』かと思いきや、途中からちょっと意外な方向に話が進んだりと、なかなか捻ったシナリオになっており割と途中で飽きずに最後まで観る事が出来ました。
ただ、ラストに関してはちょっと唐突であっけなさ過ぎだったので、その辺はもうちょっと派手な展開(惑星が崩壊するってぐらいなんだから、巨大な火山の噴火とか地殻変動とか)があっても良かったんじゃ無いかと…
といった感じで、映画の内容そのものに関しては割と好感触な部分が多いのですが、肝心の特撮に関してはかなりレベルが低くて、これだけで20点ぐらい減点したくなる程にションボリな作り。
洞窟熊は、実際のクマの映像とCGと模型を組み合わせているのですが…
まあ実際のクマの映像は当然ながらリアルで迫力があるものの、同じ映像の使いまわしのシーンが多くちょっとションボリなのに加えて、人間との絡みは撮れないので襲撃シーンは当然ながら大半が犠牲者の一人芝居。
時々『クマの手だけの模型』が出てくるんだけど、コレの出来が存外に悪くて、どこのコントかと思ってしまう始末なのは、低予算にしてももうちょっとどうにかならなかった物かと…
怪物もただのクマなので個性が無くて面白味に欠けるため、『襲撃シーンが一番ツマんない』ってのは流石にモンスター映画として間違ってると思います。
総評としましては、映画全体としてはそれほど酷くは無いんだけど『モンスター映画として観ると、どうにも魅力に欠ける』という感じの作品です。
もうちょっと怪物の描き方やらに個性があって魅力的なものになっていれば、もっと面白くなったと思うので、低予算ゆえに厳しい作品って感じですね。
とりあえず、あまりオススメする程の作品ではありませんが、SF冒険物の映画が好きな人ならば、それなりに楽しめるレベルの作品であるとは思います。
あまり特撮とかは気にせずに『コメディ番組レベルの特撮のショボさ』に目がつぶれる寛容な心で望めばそれなりに楽しめると思いますので、そういう心構えでなら観ておいても良いかもしれませんね…