■■■「ダイナソーフィールド SATSURIKUSHA」■■■
(40点/モンスター)
火山学の研究者であるスコット博士は助手のライアンと共に、ハワイの休火山であるカパヌイ山が大噴火の兆候にあるという状況を調査していた。
しかし、火口へ向かう途中のジャングルの中で人間の遺体の一部らしきものを発見し、体長10mもの巨大なワニのような怪物に遭遇する。
ジャングルの中で出会った、怪物を追う生物学者のキンバリー博士とハンターから、怪物の正体を聞いた彼らは、何とかして街の人々に怪物の脅威を伝えようとするが…
噴火のタイムリミットが迫るなか、果たして彼らは街の人々を守る事が出来るのだろうか?
B級モンスター映画の監督としてはお馴染みのロジャー・コーマン製作による、巨大なワニ風の恐竜が登場するモンスター映画。
B級らしく「ダイナソーフィールド SATSURIKUSHA」とかってパクリっぽいタイトルが付いておりますが、勿論「クローバーフィールド」とは何の繋がりも接点も無い、ごく普通のモンスター映画です。
っていうか配給会社の人間も、よくも毎度毎度こういう『なんちゃって邦題』を考えるもんだなぁと、感心しますな…
ちなみに、原題は「SUPERGATER」(超ワニ)です。
さて、ロジャー・コーマン監督というと低予算モンスターホラーの世界代表みたいな人ですが、本作もまあ低予算の制約のなかイロイロと工夫をして『それっぽいモンスター映画』を撮っております。
特撮はミニチュアモデル(多分『頭だけ』)とCGとを組み合わせているのですが、怪物の見せ方がなかなか上手くてそこまで酷い違和感は受けません。
モンスターは、ワニの遺伝子を恐竜の遺伝子を組み合わせて作られたもの…という事で、デザインはスピノサウルス(2足歩行できるワニみたいの)が小さくなったような感じなんですが、こいつがモーションとかが非常に良く作られており、デザインもなかなかスマートでカッコ良いです。
CGでの襲撃シーンも『怪物と人間との絡み』をやると予算が大量に必要な為、上手く『カメラの死角』を利用して怪物に襲撃を行わせたりと、ホントに『手馴れてるなぁ…』って感じ。
流石に低予算映画を撮るのに慣れてるだけあって、『どこに予算を割いて、どこの手を抜けば良いか』が良く分かっているのでしょう。(まあそれでも、冷静に観ると『低予算丸出し』なんですけどね。)
ただ、『撮りなれてて特撮が良く出来ている』からといって、『本編の内容が面白いか?』と言われると、ソレは全くの別問題。
ストーリーに関しては、序盤の『物語が動き出す』までが無駄に長くてとにかく冗長で、我慢できない程にダルい訳では無いですが結構退屈です。
物語が動き出してからはそこそこ盛り上がるのですが、モンスターの襲撃シーンの回数は多いものの一回一回の襲撃シーンがやたらと淡白で、メインキャラだろうがちょい役のサブキャラだろうが、一瞬で食われてしまうのはあまりに味気ない感じ…
まあ、この辺が低予算故の制約といった所でしょう。
街のシーンも、キャスティングの人数が異常に少なくてパニック感とか全くありません。
でも、10数名の人々がリゾートホテルの庭をわらわらと走って怪物と追いかけっこする姿は、逆に『シュールで良い味を出してる』部分もあったりしますが…
あと、ストーリーの解説で『火山の大噴火が迫る』みたいな事が書かれていますが、本編の中では火山は結局最後まで全く噴火しません。
モンスターの襲撃シーンだけでも予算ギリギリっぽい点を考えれば当たり前ですが、災害パニックシーンまで撮るイキオイが無かったって事でしょうな…
総評としましては、良くも悪くも『B級のモンスター映画だなぁ…』って感じの作品です。
ロジャー・コーマン監督の作品の中では割とマトモな部類ではありますが、普通の人にオススメできるようなレベルかと言われるとそうでも無く…
基本的に『ツマんないん』だけど『別に観れないレベルじゃ無い』って感じかな?
まあモンスター映画好きなら、モンスターのデザインが気に入れば大暴れする姿を観るためだけに観ておいても『とりあえず後悔はしないレベル』だとは思いますので、予告編とかを観て気になってる人ならば、それなりに観ておいても良いんじゃないかと…