NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(65点/サスペンス)

イメージ 1

■■■「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」■■■
(65点/サスペンス)

 退廃したロンドンの街。
 理髪師のバーカーは、自分の妻に横恋慕する悪徳判事の陰謀で、無実の罪を着せられた上に妻と娘を奪われ、国外へと逃げ出して地獄のような生活を送る事となる。

 15年ぶりに「スウィーニー・トッド」と名を変えてロンドンへと舞い戻ったバーカーは、妻が既に死に娘はなおも判事の下に囚われている事を知り、自分を不幸へと陥れた仇敵に復讐し娘を助け出す為の計画を開始するのだった…


 最近ではチャーリーとチョコレート工場でお馴染みの、ジョニー・デップティム・バートン監督のコンビによるサスペンスホラー映画。

 「チャリチョコ」はいわゆるミュージカル仕立てのファンタジー作品でしたが、今回は『ミュージカル仕立ての猟奇サスペンスホラー』という、世にも稀なジャンルの作品です。

 お話の方は何と言いますか、一言で言ってしまうと『福は糾(あざな)える縄の如し』とでも言うような感じのお話ですな。

 ストーリーは、サスペンスと言ってもミュージカルなので、ぶっちゃけたいした内容はありません。
 なんせ、本編の時間の半分は単に『歌って躍ってるだけ』ですから…

 まあしかしこの監督のファンなら、本作の『サスペンス部分を楽しみにしていた』って人もあまり居ないでしょうし、特にソレは問題無いでしょう。

 本作の見所は、やはりバートン監督の独特の世界観を持った美術デザインと、ジョニー・デップのノリノリの怪演っぷりです。

 本作の、中世の末頃のロンドンの退廃的な雰囲気を表現した美しいイラストの映像は、その映像美だけでも十分に迫力があり一見の価値アリです。

 デフォルトが『しかめっ面』のジョニデの演じる主人公も、なかなかに良い味を出しております。

 ただ、本作が『バートン監督の作品の中で突出した部分があるか?』と言われると、少々微妙なところ…

 そもそも『猟奇殺人』というジャンル自体が『非常に濃い』ジャンルなので、バートン監督の独特の濃さがイマイチ活かしきれていない気がして、どうもインパクトが弱いのですよね。

 主人公もアクは強いのですが、殺人鬼として見るとちょっと淡々としてる感じだし、ミュージカルの歌も割と『ストーリーをなぞっているだけ』といった風合いで、「チャリチョコ」とかに比べると、いかんせんパンチ力が弱い感じです。

 『やたらと唐突なラストシーン』も、どうにも尻切れトンボな感じですし…

 とは言っても、本作そのものの出来が悪いという程じゃ無いんですが、全体的にもうちょっと勢いが欲しかったなぁ…ってのが正直な所でしょう。


 総評としましては、純粋にミュージカル仕立てのサスペンスとして観た場合は、『まあ結構良く出来てるかな?』というレベルの作品だと思います。

 ただしバートン監督の作品として見ると、『ちょっと凡作かなぁ?』って印象が拭えない作品です。

 過剰な期待をせずに観れば『割と普通に楽しめるレベル』だとは思いますが、「チャリチョコ」のようなインパクトを期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかも?

 個人的にはスリーピー・ホロウ」とかよりはよく出来ているかな?って感じの印象ですが、まあ『そこそこに楽しい映画』ですので、ジョニデかバートン監督のファンで、本作が気になっているならば観ておいても損は無い作品だと思いますよ。