NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「アース(ブルーレイ版)」(採点不能/ドキュメンタリー)

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■■■「アース(ブルーレイ版)」■■■
(採点不能/ドキュメンタリー)

> 約50億年前、巨大な小惑星が地球に衝突し、地球の地軸は太陽に対し23.5度傾いてしまう。この天文学的事故はまさに奇跡だった。
> 地軸の傾きは季節、暑さ寒さという気候の変化を生み、壮大な景観の美を作り出した。それは生命にとって完ぺきな状況だ。
> 生命は太陽からエネルギーを得る。そして多くの生物が生きるため途方もない長旅をするのもまた、太陽のせいだ。
> 彼らと一緒に、我々も旅に出よう。北極から南極へ至る旅。我々が故郷と呼ぶ惑星を縦断する旅へ。


 <以上:本編解説より抜粋>

 イギリスの国営放送であるBBCによって製作された、現在の地球の生命の多様性を描いた自然ドキュメンタリー映画
 尚、本作は通常の『映画』という観点では採点が難しいため、『採点不能とさせていただいております。

 劇場で公開された際に観に行くかどうかで迷ったのですが、後にBlu-ray版が出るという事を知り、落ち着いた環境でジックリと鑑賞したいと思い発売を待っておりました。

 で、結論としては…十分にBlu-ray版の発売を『待った甲斐があった』作品と言えますね。

 世間一般ではBlu-rayの高画質なんか求められていない』という意見もありますが、いやはや、やはりこういう『自然ドキュメンタリー映像』等では、高画質だと全く臨場感が異なりますね。

 熱帯雨林やサバンナのシーンでの情報密度の濃さは、ホントに『ため息しか出ない程』の凄さです。

 最近はCGの技術が進んで『実写顔負けの映像』が作れるようになって来ましたが、やはり大自然の圧倒的な存在感と荘厳さの前では、まだまだ人工のCGなんて霞んでしまうなぁ…と素直に感動させられます。

 やっぱ、こういうドキュメンタリーは高画質で見てナンボですねぇ。
 とまあ、映像の話ばかりしていてもしょうがないですので、本編に関してですが…

 本編の内容に関しては、良くも悪くも『正統派ドキュメンタリー』という感じの位置付けの作品です。

 映像美にこだわった「デーィ・プブルー」や、ペンギンの一人称的な視点を描いた「皇帝ペンギン」のような奇をてらった表現は無く、むしろ粛々と映像を流しつつ、淡々とありのままの事実のみを解説する…という、非常にドキュメンタリーらしいドキュメンタリー映画といった感じ。

 「ディスカバリー・チャンネル」よりも、ナショナル・ジオグラフィックス」のビデオにノリが近いタイプと言えば、その手のジャンルが好きな人になら分かりやすいかも?

 無駄な解説はあまり無く、様々な生き物の生き残りを賭けた生命のドラマを描く事で、『その映像を観て感じたままに感じて欲しい』という作りなのは、好感触を得られる部分でしょう。

 ただ、その表現手法は悪く無いとは思ったのですが、逆にシーンによっては若干『語らなさ過ぎな部分もあるかな?』と感じた部分も若干あるかも…

 海のシーンでは、ザトウクジラの狩りの手法である「バブルネットフィーディング」や、空を飛ぶホオジロザメ「エアジョーズの映像も出てきたりするのですが、こういう『映像だけでは分かり辛いシーン』には、もうちょっと解説があっても良かったのでは?

 また、本編では地球を緯度に沿って徐々に南下していく訳ですが、地域によっては『この地域だと、この映像とか説明が必要っしょ?』というようなシーンが割と抜けてたように感じたのは惜しい所です。
 まあ尺の都合もあるので、何もかも詰め込むのは難しいんでしょうが…

 そういう映像が収録された完全版とかが出れば、多少高くても買っちゃうんだけどなぁ。
 (あ、メイキング映像とかは別に要らないので、別にBlu-ray版がプレミアムエディションじゃない事に対しては不満は無いです。)

 あと、個人的にちょっと気になったのは、最後のスタッフロールの前のシーンの『地球温暖化が云々~』というテロップは、ちょっと蛇足だった気もします。

 ナレーションでそれっぽい事を『中立な論調』で語っているのに、最後のテロップがいかにも偽善的で萎えてしまったのは私だけ?
 このテロップって、監督の撮ったオリジナル版にも入ってたのかなぁ?

 私、個人的に地球温暖化を止めて絶滅危惧種を救おう』みたいな論調って、いかにも人間の傲慢を現してるようで、あまり好きじゃないんですよね…

 いや、別に『自然を守るな』って言ってる訳じゃなくて、そもそも『温暖化を食い止める』のは『今の環境が破壊された時に最も困る人類のため』なのであって、『地球環境』からしたら環境破壊によって人類が滅びようが、その道連れになって多くの種が滅びようが、そんなもん知ったこっちゃないんですよね…
 『種の大量絶滅』なんて、何十億年もの単位での生物の進化のドラマの中では何度も繰り返されている事で、たいした事件でも無い訳ですから。

 だから、人類は『人類の未来を守るため』に地球の温暖化を食い止めるべきであって、『地球温暖化の影響で滅びそうな生き物が居るから環境を守ろう』みたいな論調は、どこまで傲慢なのかと…

 とまあ、話が随分と逸れてしまいましたが…


 総評としましては、ごく普通に『地球の巨大なスケール感』の感じられる、良作のドキュメンタリー映画だと言えると思います。

 ただ、ドキュメンタリーとして目新しさを求めるには、やや既出の情報が多くて面白味に欠けるかもしれませんので、この手のドキュメンタリーを良くみる人にとっては、ちょっと退屈な部分もあるかも?

 今回はBlu-ray版という事で、やはりHDの高画質でこういった映像が見られるのは素直に嬉しい限りでしたので、そういうジャンルが好きでBlu-rayプレイヤーを持ってる人ならば、とりあえず購入しておいても損は無いタイトルだと思いますよ。