■■■「パンプキンヘッド 禁断の血婚」■■■
(60点/モンスター)
南部の田舎町に激しい対立を続ける、マッコイ家とハットフィールド家の二つの一族があったが、そんな一族の中でも『マッコイ家のリッキー』と『ハットフィールド家のジョディ』は、一族の他の面々には秘密で恋人として付き合いを続けていた。
しかしある日、ハットフィールド家の人間の暴行が元で妹が死に、自らも激しいリンチを受けたリッキーは、怒りに囚われたあまり『森の魔女』の元へと赴き、伝説の悪魔「パンプキンヘッド」を呼び出して『ハットフィールド家のジョディ以外の人間を皆殺しにして欲しい』と願いでる。
果たして怪物は彼の願いを聞き届け、ハットフィールド家の人間を次々と殺し始めるが、怪物の呪いはやがて彼自身の魂をも蝕んでゆき…
この度、20年ぶりに新作が作られた「パンプキンヘッド」シリーズの第4弾に当たるモンスターホラー映画。
一応、「パンプキンヘッド 復讐の謝肉祭」の次の話に当たる本作ですが、ストーリー的には特に3作目との繋がりはありません。
ただし1作目との繋がりは密にあるため、1作目を知らない人は3作目を先に観ておいた方が無難かも?
タイトルやパッケージだけ観ると、かなりクソ映画っぽいヤバそうな印象を受ける本作ですが、実は内容に関しては3作目より全然良く出来ていたりします。
いや、それにしてもこのパッケージのセンスは無いわ…
お話的には『家族を殺された男がパンプキンヘッドの力を借りて復讐を行う』という話で、全くシリーズそのままの展開です。
って言うか、シリーズ通して『ストーリーラインが全く一緒』ってのは、安定してるといえば安定してるのですが『流石にどうなの?』って感じでもありますね。
ヒロインと主人公が「ロミオとジュリエット」的な関係だったりと、設定になかなか趣向が凝らされており、最終的には両家が協力して怪物に対抗するって展開は、なかなか面白いです。
また、1作目の主人公(ランス・ヘンリクセン)がストーリーテラー的な役割を果たしているのは、結構良い設定だと思いました。
怪物に関しては特撮は割と良いレベルで、見せ方に関しても前作よりは随分と良くなっており、狭い屋内で天井に背が届かんばかりの巨体を表現しているシーンとかは、なかなか良い感じだと思いました。
また、今回は『一族全員がターゲット』という事で、怪物の暴れるシーンが多く、殺し方も割とバラエティ豊富なのも悪く無いでしょう。
ただ、総じて怪物の表現は良くなっているものの、怪物の暴れるシーンのアクションに今ひとつキレが無いのは残念な所ですね。
怪物が割と人間臭い設定なので、怪物の動きにもうちょっと動きに人間臭さや個性が感じられた方が良かったかも?
ラストの悲壮感溢れる展開とかもなかなか良かったですが、『狂気に走るシーン』も『正気に戻るシーン』も、やたらと淡々としててアッサリと描かれすぎなので、もうちょっと『主人公が精神的に追い詰められる姿』を明確に描いた方が、人間ドラマとしても深みが出たかもしれませんね。
総評としましては、不満点も少なくないながらも『コンパクトにまとまった良作モンスターホラー』と言っても良いレベルの作品だと思います。
コレはという程のオススメポイントがある訳でも無いですが、堅調な出来の作品ではありますので、シリーズのファンやモンスターホラー好きならば、とりあえず観ておいても損は無いでしょう。
3作目と比べると、総じて完成度が高くなっていると思います。
まあ、本作が延々とシリーズ化されるような作品とも思えませんが…