NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「フィースト」(55点/モンスター)

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■■■「フィースト」■■■
(55点/モンスター)

 テキサスの荒野のただ中にあるバーで飲み潰れる常連客たちのところに、ショットガンを持った一人の男が乗り込んでくる。

 その男は、やおら『怪物の死骸』をバーの客たちに見せて、『正体不明の凶暴な怪物の群れがこの場所に迫っている』と突拍子も無い事を告げる。

 果たして、その男の予告どおりに『正体不明の怪物』がバーへと出現、バーの外を怪物の群れにすっかり取り囲まれてしまった彼らは、電話も通じず助けを呼ぶ事も出来ない状況で、なんとかして生き延びる為に怪物の群れと戦う決意をするが…


 アメリカ南部の小さなバーに突然現れた怪物の群れと、バーの客との命懸けの対決を描いたモンスターホラー映画。

 いやはや何と言いますか、これまた気持ちのいいぐらいに『恐ろしく内容の無い映画』ですな!!

 なんでも、マット・デイモンベン・アフレックのプロデュースするTV番組の企画として『ホラー映画を一本作って製作過程をドキュメンタリーとして流そう』というネタがあったらしく、その企画の成果として製作されたホラー映画が本作となるそうです。

 それ故に流石は『ネタ映画』というべきか、ホントにネタ以外の何者でも無いような内容で…

 とにかく、ストーリーらしいストーリーは全く無し!!
 登場人物を描く為の背景の説明も無ければ、正体不明の怪物は最後まで正体が明かされずに『正体不明』のまま。

 本当に『謎の怪物とバーの客との戦い』を描く事のみに終始した内容で、ここまで徹底的にストーリーを描くつもりが無いと、逆に清々(すがすが)しさすら感じます。

 そして本作の特長とも言える部分が、徹底した『ネタ映画』としてのネタの仕込みっぷり。

 ホラー映画の『定石』をことごとく裏切るような構成で、冒頭に登場する主人公かと思われた人物は登場後3分ぐらいで死ぬし、最後まで生き残るのが定番とされている『小さな子供』は速攻で死亡。

 登場人物たちは、ピンチを前にしてもひたすらバラバラで一向に団結する様子も見せないし、主人公(らしき人物)は最後までヘタれで全く見せ場無しとか…もう、ありえないようなフェイントの連発。

 その他にも、下品なネタや下らない小ネタが満載で、ホラーファンであればあるほどに『予想を裏切るネタの連発』に、なかなか笑わせて貰えることウケアイです。

 ただし、ネタ映画と分かって見ている分には良いのですが、『普通のモンスターホラー映画』を観ようと思って本作を観た人は、正直言って『何じゃコリャ?』と思ってしまうかも?

 登場人物は恐ろしく自分勝手で観ててイライラしますし、普通の映画ならフォローなり解説なり必要そうなシーンでもソレっぽい説明は全く無し。

 かてて加えて、『笑って良いのかすら分からない』ような不謹慎なネタやナンセンスなギャグの連発に、ちょっと引いてしまう可能性もアリですね…

 あと本編の『内容が無い』だけにお話の展開も非常にスピーディですが、モンスターの襲撃シーンがやや単調で飽きてしまい気味のは困り者。

 低予算故に『襲撃シーンを素早いカメラ切り替えで誤魔化す』という手法を多用するシーンが多くて、画面を見てると目がチカチカしてきそうになるのも難点かな?

 まあ低予算である事を考えれば、なかなか頑張って撮られている作品だとは思いますけどね…


 総評としましては、普通にモンスター映画として観ると『なんじゃこりゃ?』な作品かもしれませんが、『紋切り型のモンスターホラー』をオマージュとして『ネタ映画』として観る分には、なかなか面白い作品だと思います。

 モンスターホラーが好きならば、別の意味で『観ておいて損は無い作品』だと思いますが、『純粋にモンスターホラーを観たい』って人は注意が必要な作品かも?

 とりあえず、お馬鹿で下品な内容に抵抗が無くて、ちょっとした『パロディ風味のホラー映画』が好きな人ならば是非。