NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「フランケンシュタインX -新種誕生-」(55点/モンスター)

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■■■「フランケンシュタインX -新種誕生-」■■■
(55点/モンスター)

 大規模な火山の噴火により環境が破壊された近未来。

 遺伝生物学の教授であるヴィクトリア博士は、先天的に心臓に疾患を持つ幼い息子を救うために人工臓器のクローン培養の実験を行い、長年の研究の成果として幹細胞からの人工心臓の培養に成功する。

 しかし、あとわずかで臓器クローンの実用化と言った矢先に、息子の病状が休息に悪化。
 彼女は一刻も早くに実験の結果を出すことを急ぐあまりに、大学に秘密で『息子の遺伝子』を用いた万能細胞の培養実験を行う。

 しかし努力の甲斐も空しく彼女の息子は病死してしまった事から彼女は実験の中止を決意するが、UXと名付けられた検体は培養層の中で急激に成長を遂げ、全く新たな新種の生物として誕生しつつあったのだった…


 メアリ・シェリーの「フランケンシュタイン」をオマージュとした、イギリス製のSFモンスター映画。

 このいかにもイロモノ染みたタイトルからは想像が付かないかもしれませんが、意外にも硬派な設定のSFホラー映画です。

 原題の「FRANKENSTEIN」というタイトルが示す通りに、かの有名なメアリ・シェリーの「フランケンシュタイン」を遺伝子工学をベースに現代風に焼き直したという感じのお話で、ストーリーの方は存外にシリアスな内容。

 博士によって作られた怪物が、怪物として生まれてきてしまった事の悲哀を感じさせるような前半の物語の展開は、なかなかに涙を誘うものがありますしオマージュとしてもなかなかに秀逸。

 特に『落雷』『少女との出会い』『炎』『風車』等の、フランケンシュタイン」のオリジナルストーリーにあるギミックが各所に盛り込まれているのも、原作への敬意を示すような感じで、なかなかに上手い見せ方だと思いました。

 ただ、前半のオマージュに満ちた展開の部分は文句なしに面白いと思ったのですが、後半からは賛否両論ありそうな少々意外な展開に…

 普通にモンスターホラーなのかと思って観ていたら、物語の中盤でアッサリと『怪物』が捕らえられてしい、その後どうなるのかと思いきや、それ以降の展開は博士と怪物との悲哀に満ちた『触れあい』を描いたお話となってしまい、SF色がやたらと濃くなってしまうのは『どうなんだろう?』という感じ。

 お話そのものは、そこそこ面白いので悪くは無いと思ったのですが、普通に最後までホラーで一本撮っても良かったんじゃないかなぁ?…とも思います。

 意味深な感じのラストシーンとかは嫌いじゃ無いですけど、ちょっと後半の展開は人によって評価が分かれそうな気がしますね…

 特撮のレベルは怪物がモロに『着ぐるみ』と分かってしまうレベルなので、まあ『低予算だなぁ…』って感じですが、怪物をリアルに描くのが主題の映画でも無いので許せる範囲かな?

 また全体的に物悲しげな雰囲気が漂う作りの作品のため、どうにも見せ場や派手さに欠ける印象なので、『もうちょっと見せ場があればなぁ…』と感じるのが惜しいところでしょうか?


 総評としましては、モンスターホラーとしては『少々見所に欠ける』印象のある作品ですが、ホラー風味のSF映画として観ると割と良く出来た部類のお話だと思います。

 派手にモンスターが暴れるような展開を期待していると肩透かしを食らうかもしれませんが、普通に『ストーリー重視のSFホラー』が観たい場合なら、そこそこ楽しめる作品なのではないかと…

 とりあえずフランケンシュタイン」をオマージュした作品としては、なかなかに秀逸な作りだと思うので、そういう部分に興味があれば観ておいて損は無い作品だと思いますよ。