■■■「ZANKOKU 残酷」■■■
(45点/サスペンスホラー)
アメリカ南部の田舎町で、若い女性が相次いで殺害されるという連続殺人事件が発生する。
犠牲者はいずれも、心臓を抜き取られるという非常に残酷な手口で殺害されており、死体の側に必ず『一輪の花』が残されているという奇妙な手口から、地元の女性保安官のゾーイは、犯人は猟奇的な連続殺人犯であると推測。
これ以上の被害者を出さない為に、犯人の行う『連続殺人の法則性』を分析しようとするが、その結果として恐るべき真実に行き当たるのだった…
猟奇殺人鬼による連続殺人を描いた、サイコスリラー風のスラッシャーホラー映画。
「ZANKOKU 残酷」って、これまたエラくストレートな邦題だなぁ…と思いながら本編を観てみたら、実は原題の方も「BRUTAL(残酷)」と、まるっきりそのままの直訳タイトルでした。
なんでも、「死霊のしたたり」のジェフリー・コムズと「サランドラ」のマイケル・ベリーマンというホラー俳優が競演している事がウリのようですが…
いやいや、流石にそこは『映画のセールスポイント』として宣伝するにはマイノリティ過ぎるだろ?
ホラーファンの私でも『誰だっけ?』ってレベルなんですが…
映画の内容の方は、いわゆるサスペンス風味のスラッシャーホラー映画。
サスペンスと言っても犯人は最初から思いっきり顔出ししてるので、正体不明の犯人を推理するような緊張感は特になし。
犯人の残した手がかりを元に、主人公がだんだんと犯人に近づいていくというような展開ですな。
殺人シーンは割と力が入っており、そこそこの残虐描写がアリで、犯人は植物学者という事から植木バサミやらの園芸道具で被害者を殺すってのが、なかなか面白いです。
(高枝切りバサミで人を殺すシーンは、ちょっと笑った。)
他にも、ちょっとブラックユーモアの含まれたシーンがあり、ちょっと笑えてそこそこの残酷描写もあって、また被害者になる女性が『とんでもないクソ女』ばかりで、殺害シーンに爽快感があるのは良い点なので、全体的にB級ホラーのノリとしては及第点といった所でしょう。
ですが、サスペンスとしては非常に弱い内容で、物語に全く意外性が無く緊張感も乏しいので全体的に盛り上がりに欠けます。
お話のテンポは良いものの、話の核心に迫るのがホントに終盤ギリギリになってからのせいで、謎解きもやたらと唐突。
ラストシーンも物凄くアッサリしてて、どうにも盛り上がりに欠ける内容なのは惜しい所。
話の組み立て的には、どちらかというと『サスペンス寄り』の構成なのに、サスペンス要素が希薄で、だからと言ってホラーとしても『なんとか及第点レベル』という内容なので、どうにも『どっちつかず』の作品になってしまっている印象ですね。
もうちょっと、どちらかの方向性をハッキリと描いた方が良かったのでは無いかと…
総評としましては、『ツマんなくは無いけど盛り上がりにも欠ける』という、『可も不可も無いけど、どっちかと言うと不可寄り』な感じの作品ですね。
敢えてオススメする程の作品でも無いですが、観れない程にツマんない作品でも無いので、ホラーが好きならばウッカリ借りてしまっても後悔するような内容では無いでしょう。
スラッシャーホラーとして観るなら、まあそれなりに楽しめますが、サスペンスとして観るとちょっと肩透かしを食らうかなぁ?…って感じの一本でしょうか?