■■■「モスクワ・ゼロ」■■■
(30点/アドベンチャー)
モスクワの地下に広がる広大な地下トンネルのいずれかの場所に、『地獄へと通じる門』があると言う都市伝説が囁かれていた。
アメリカの大学の人類学部の学生であるオーウェンは、友人のセルゲイがこのトンネルの調査をするべく1週間前に地下に潜ってから音信不通行方不明となっている事を知る。
その地下トンネルで、ホームレスが次々と行方不明になっているというウワサを知ったオーフェンは、セルゲイの身を案じて行方不明になった彼の行方を探るべくモスクワへと降り立ち、地元のガイドと共に地下トンネルの調査を開始するが…
ヴィンセント・ギャロとヴァル・キルマー主演による、モスクワの地下トンネルに潜むという『悪魔』の謎に迫る冒険ホラー映画。
パッケージやタイトルからいかにもホラーという区分けをされていますが、実際にはホラーっぽい部分は殆ど無くて、設定のみ『ホラーっぽい題材』を用いた冒険映画といった感じですね。
モスクワの地下トンネルを延々と描写した『映像表現』が非常に良く撮られており、地下トンネルの寂れたイメージや不気味な薄暗い雰囲気は物凄く良く出ているので、廃墟マニアの人ならばこの映像を見るだけでも、それなりに観る価値ありかも?
なんとなく、タルコフスキーの「ストーカー」を彷彿(ほうふつ)とさせる印象がありますね。
(といってもあそこまで芸術性が高くなくて、もっと『娯楽寄り』な映像表現ですけど…)
…が、肝心の本編の方は『映像の表現が素晴らしい』以外は、なんともイマイチな内容。
とにかくストーリーの進みが遅くて、非常に冗長な印象。
盛り上がるシーンが殆ど無くて山場が全く訪れないので、本編の大半のシーンが延々と寂れた廃墟の中を主人公達が歩いているのが映されているだけで、どうにも退屈です。
謎解きみたいな要素もあるのですが、謎解きパートが主人公以外のキャラによって行われており、しかも説明が殆ど無いため『視聴者置いてきぼり』で、面白いんだかなんなんだかサッパリ分かりません。
ラストのオチも、納得は行くけど『だから何なんだ』というような投げっぱなしな終わり方で、なんというかホントに『山なし、オチなし』といった感じ。
主演の俳優が、ヴィンセント・ギャロ&ヴァル・キルマーと妙に豪華なのですが、なんかそれも全く活かされていない印象で、映像も俳優も良い素材だけはあるのに内容が全く伴っていないという印象かなぁ?
総評としましては、『映像表現は良いんだけど、それ以外はどこを楽しんだら良いんだかサッパリ分からない作品』と言った感じです。
廃虚マニアで、『寂れた地下トンネルの映像を見ているだけで満足できる人』ならば、それなりに楽しめると思いますが、そうでなければあまりオススメしかねる作品ですね…
作品の雰囲気は良いので、『雰囲気のみを楽しみたい人』と『ヴィンセント・ギャロ&ヴァル・キルマーの大ファン』という人ならどうぞ。