■■■「悪魔の棲む森」■■■
(65点/モンスター)
高校生のサンティは、「羞明症」という光に対して体が拒絶反応を示すという特殊な病状の治療のため、昼なお日光のあまり刺さない霧深い山間の村へと移住する事となる。
閉鎖的な村の住民や環境に馴染めずに戸惑う彼と家族だったが、このところ、森の中で『野獣のような生き物に家畜が襲われる』と言う事件が頻発している事を知る。
クラスメイトが森の中で怪物を見たというウワサを聞いた彼は、友人たちと共に森の奥へと怪物を探しに行くが、仲間の一人が正体不明の生き物に惨殺されるという事件が事件が発生し…
霧深い森の奥から現れた正体不明の怪物が村人を襲うという、スペイン製のモンスターホラー映画。
いかにも『ありがちな感じのタイトル』が付いており、パッケージも物凄く地味なので全く期待していなかったのですが、コレがなかなかに意外な掘り出し物の一本でした。
最初は安直なモンスターホラー映画かと思わせておいて、果たして『怪物の正体は何なのか?』という展開になるのですが、怪物の正体にもなかなかに意外性があって謎解きパートとかもシッカリと描かれているのが好感触。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ラストまで二転三転するストーリーも割と凝った作りになっており、単純なモンスターホラーというよりは『サスペンス要素の強い作品』に仕上がっている感じですね。
なるほどコレなら、パッケージに書かれていた『ベルリンだかの映画祭に正式出展されて高い評価を得た』というのも納得な内容です。
ただ、舞台の『霧深い山村』という設定も良い味を出しているのですが、映像表現はそこそこと言ったレベルで、『せっかくの良い雰囲気を活かしきれて無いかなぁ…』って感じる部分があるのは残念なところ。
また、お話そのものは面白いのですが、正体が判明してからの怪物の姿が『どう見ても強く無さそう』なので、それ以降の緊張感がちょっと薄れてしまうのは難点かなぁ?
(コレは、もうちょっとハッタリを効かせたデザインでも良かったかな?)
総評としましては、パッと見た感じはアレっぽいですが『期待せずに観てみたら意外と掘り出し物だった』という感じの、良く出来た佳作レベルのモンスターホラー映画だと思います。
サスペンス要素が強い内容なので、普通に『モンスターが大暴れ』的な内容を期待していると肩透かしを食らうかもしれませんが、逆にモンスターの正体がシッカリと描かれる『謎解きもの』のようなタイプが好きならば、かなり楽しめる作品でしょう。
とまれ、モンスターホラー好きな人のみならずB級ホラーが好きならば、ごく普通にオススメ出来る作品だと思いますよ。