■■■「HATCHET/ハチェット」■■■
(40点/スラッシャー)
恋人に振られた気晴らしに友人達と一緒にハロウィンにメキシコまで旅行に出かけたベンは、親友のマーカスと一緒に「呪われた怪奇沼ツアー」へと参加して幽霊見物へと出かける。
しかし、ツアー先の深夜の沼でボートが座礁してしまったツアー客の一行は、ボートを捨てて岸へと上陸して助けを求める事とするが、彼らが上陸した場所は、かつて『醜い姿で生まれた畸形の少年ビクターが若者たちの悪戯が原因で非業の死を遂げて、それ以来、少年の亡霊がさ迷い続けている』という不気味な伝説のある場所だった…
不死身の殺人鬼が沼地の奥でツアーに来た人間を襲うという、スラッシャーホラー映画。
パッケージによれば『正統派のスラッシャーホラー』という事で、ちょっと期待してたのですが…
何というか『正統派』と言うよりも、物凄く『ありきたりなスラッシャーホラー』という方がふさわしいような作品ですね。
ぶっちゃけた言い方をしてしまえば、「13日の金曜日」の劣化コピーといった感じの内容で、殺人鬼役をケイン・ホッダー(ジェイソンの中の人)が演じている事もあって、ますますもってそういうイメージが強いです。
確かに『殺人シーンは盛りだくさん』で『残虐描写も強め』なので、正統派って言えば正統派なんですが、とにかく中身が無い&お話が物凄くツマらない。
殺人鬼が人を殺す理由が良く分からなく、単に『近所に来た人間を淡々と殺す』みたいな感じなのでキャラクターに全く個性が感じられず、また襲撃シーンも緊張感が全く無くて『突然目の前に殺人鬼が現れて被害者をとりあえず殺してみました』というパターンの繰り返しのため、ハッキリ言って途中で飽きてきます。
(同じようなパターンのジェイソンは『個性が無い事が個性』みたいな感じでしたが、アレはシリーズを重ねた末にあのキャラを確立したのであって、パッと出のキャラでソレを真似されても…)
被害者を『力まかせにバラバラにする』ってのもジェイソンの二番煎じっぽくて、殺し方に全く面白味が無く、スプラッタブームの全盛期ならともかく今時こんな内容の作品を作られてもなぁ…って感じ。
あと、この映画の殺人鬼は確かに『不死身』で『怪力』なのですが、そこまでタフでは無くて、反撃で倒されて主人公たちが圧倒的優位に立つシーンが何度もあるんですよ。
それなのに、その度に主人公たちが殺人鬼にとどめを刺さずに、何故かその場から逃げ出してしまって、後で『反撃を受けて殺される』というパターンが延々と続くため、『何でそこで徹底的にとどめを刺しておかないんだ、お前ら学習能力が無いのか?』と真剣に思いましたよ…
(この映画の登場人物は「スクリーム」を観て、スラッシャーホラー映画の大前提を勉強すべきです。)
総評としましては、なんというか全体的に微妙としか言いようが無いような内容のB級スラッシャーホラーですね。
まあ、映画の端々に「13日の金曜日」を意識してる部分はあるので、恐らく監督はそういう意味を込めて『「13日の金曜日」っぽい作品』をオマージュとして作りたかったんでしょうが、『自分なりの個性』が全く無いために単純に出来の悪い劣化コピーになり下がってしまっているのが問題なのでは無いかと…
本家の「13日の金曜日」がリメイクされている昨今の事情を考えると、正直言ってこの作品を観る価値があるかは、なんとも微妙な所ですなぁ…
まあ『景気良く人が殺されまくる』ので、途中で眠くなるほどダルいような作品でも無いですので、テンポが良くて景気の良いスラッシャーホラーが観たければお好みで…って感じでしょうか?