■■■「ザ・セル2」■■■
(55点/サスペンス)
超能力を用いて犯罪の捜査を行うFBIの特別捜査官のマヤは、犯罪者や被害者の遺留品に触れる事で相手の意識へと入り込む事が出来るという特殊な能力を持っていた
以前に猟奇殺人鬼に誘拐された際に、奇跡的に一命を取り留めた事によってその能力を発現するようになった彼女は、自分をさらった『カスプ』という殺人鬼の足取りを追うことでFBIへと協力を行っていたが、1年前のとある事件の際にカプスにまんまと出し抜かれて被害者を殺されてしまった為に、自責の念から捜査の協力を拒否していた。
しかし、1年後に再びカスプによるものと思われる誘拐事件が発生した事から、再び捜査へと協力してカスプとの対決する覚悟を決める彼女だったが…
犯罪者の心理に入り込む事によって事件を調査する超能力捜査官と、猟奇殺人鬼との対決を描いたサイコサスペンス映画。
一応は「ザ・セル」の正式な続編に当たる作品ですが、最近流行りのTV映画向けの続編って奴でしょうか?
監督も違ってしまっているし予算額も違うので、仕方ないって言えば仕方ないんですが、斬新な映像表現や奇抜な設定が話題となった前作に比べると、ハッキリ言って2~3歩は劣る作品になってしまっていますねぇ…
特に精神世界の映像やCGがかなりショボくて、『Windowsのスクリーンセーバーかよ?』と言いたくなるような映像表現とかが使われていたりして、前作の精神世界のハイセンスな映像が好きだった人は、かなり切ない気分になってしまうかも…
ストーリー的にも特に前作との深い繋がりは無いので、前作を観ていなくても問題は無いですが、逆に言えば『前作を観たからって、本作を観る動機には全くならない』ってのも事実ですな。
お話は『犯罪者の脳へのサイコダイブ』がメインだった前作に対して、本作は『犯罪捜査の一要素として超能力が絡んでくる』という感じで、オカルト的だった前作に比べるとサスペンス要素が非常に強くなった印象で、お話そのものはソコまでツマんない訳では無くて、サスペンスとしては『並の完成度』と言ったところ。
お話のテンポがよいのは良いですが、ストーリーにあまり捻りが無くて犯人がメチャクチャ序盤から容易に予測できてしまうのと、シナリオの構成に無理のある部分が多くて矛盾しているところやツッコミどころが多いのは難点かなぁ?
クライマックスの精神世界でのヒロインと殺人鬼との対決も、殆ど盛り上がりが無くてなんとも微妙な印象です。
ぶっちゃけ「ザ・セル」という名前を付ける必要は無かったのでは?
総評としましては、特にコレという程の事は無いレベルの『ごく普通のB級サスペンス映画』って感じの作品ですね。
別段、ツマんない訳では無いですが、取り立てて見るべきところも無い作品ですので、『TVで放映されたら視聴する』って程度のノリで十分だと思います。
特に「ザ・セル」のような『センスの良い映像美』や『奇抜な世界観』を期待していると肩透かしも良いところですので、本格的な『続編もの』として期待してる場合は要注意でしょう。
この映画がとりわけ酷い訳では無いですが、前作が好きだった身分からすると『不満しか感じられない』ってのが正直な感想かと…
つか、こんな微妙なタイトルが『正統な続編』とされてしまったって事は、『もう「ザ・セル」のマトモな続編は作られないんだろうなぁ…』と言うのが、一番残念な部分かもしれません…