（６５点／ＳＦサスペンス：結構オススメ）
郊外の町へと引っ越してきた中年男性のエクトルは、近所を散策中に森の中で全裸の女性が倒れているのを発見。
その直後に何者かに襲撃され腕に負傷を負った彼は、襲撃者から逃げるうちに奇妙な研究施設のような場所に迷い込む。
施設の管理者らしき男から奇妙な実験装置の中に隠れるように指示されて装置の中に身を隠した彼だったが、その直後に装置が作動し１時間前の過去へとタイムスリップしてしまう。
彼は『過去の自分』へと誤った干渉をして過去を変えてしまう事が『現在の自分』を消滅させる事だと知り、『自分の過去を再現』しようと行動を取るうちに、その行動が原因で誤って殺人を犯してしまうのだった…
ひょんな事からタイムトラベルを行う事になった男を襲う奇妙な運命を描いた、スペイン製のＳＦサスペンス映画。
最近では「バタフライエフェクト」とかのヒットで割とメジャーになった、いわゆる『タイムパラドックス』を題材としたＳＦサスペンスなものの、本作は『全く聞いた事も無いタイトル』だったので特に期待もせずに観てみたのですが…
いやいや、コレが意外なぐらいに面白かったです。
パッケージによると、何でも『Ｄ・クローネンバーグ監督でハリウッドリメイクが決定』したとかって話ですが、コレは確かにクローネンバーグ程の技量の監督が撮ったら、かなりの大傑作になりそうな予感なので納得です。
お話としては『一人のオッサンが１時間の過去をやり直す』だけの話なので、スケールが滅茶苦茶小さくて派手さも全く無いのですが、巧妙に伏線の張り巡らされたストーリーの構成は見事。
ネタバレになるので詳しい内容は書きませんが、中盤以降の展開はホントに先が読めなくて、かなりハラハラさせられます。
ただ惜しむらくは、やはりストーリーが非常に地味な事ですかね。
いかにもＢ級の低予算映画って感じで、登場人物も物凄く少なくて演出にも派手さが全くありません。
主人公も、いかにも『生活に疲れた中年のオッサン』って感じで、とにかく華やかさが無くて、リアルって言えばリアルなんだけど地味すぎて逆に感情移入し辛いと言うか…
ハリウッドリメイクに際して、もうちょっと話のスケールを大きくするなりして、その辺の部分が改善されれば、かなり良い感じになるんじゃないでしょうか？
あと、オチに関しては賛否両論あるかなぁ…
総評としましては、無名な作品ながらも『なかなか良く出来た佳作レベルのＳＦサスペンス映画』だと思います。
個人的に『タイムパラドックスもの』というジャンルが好きな事もありますが、最近の同ジャンルの作品の中でも質が高い方だと思いますし、『文句なし』とは言わないまでも普通に面白かったです。
そういう系列のＳＦサスペンスが好きな人なら、とりあえず観ておいて損は無い作品だと思いますので、興味があるならオススメの一本だと思いますよ。
