■■■「ブラッド・エンジェル」■■■
(55点/モンスター)
催淫剤の密売を企むクインとニックの2人は、メキシコまで薬を買い付けに行った帰り道で道に迷い、『悪魔の巣』という名前のストリップ劇場へとたどり着く。
興味本位で店内へと入店した2人だったが、催淫剤の効力を試そうと花形ダンサーに薬を飲ませたところ、首尾よくクインが声をかけられて別室へと案内される。
役得とばかりに彼女に付いて行った彼だったが、別室の中でダンサーは突如として怪物に変身。
万事休すかと思われたその時に、その場に颯爽と現れた『2丁拳銃を持った謎の女性』になんとか命を救われた彼だったが、劇場から逃げ延びる前にストリッパー達が次々と怪物と化して、その場はまさに悪魔の巣窟と化してしまうのだった…
ストリップ劇場に唐突に現れた怪物の群れと観客達が命がけで戦うという、モンスターホラー映画。
『ストリップ劇場でストリッパーが怪物に変身する』とかって、つい最近も同じような設定のホラー映画を観たような気がしますが…
「ゾンビ・ストリッパーズ」とは違って、こちらはどっちかと言えば『巻き込まれ型』の「フロム・ダスク・ティル・ドーン」っぽい感じのお話ですね。
本編内でもソレっぽいツッコミが入ってるので、元ネタはそちらと見て間違い無い感じでしょう…
ちなみに本作で登場する怪物は、ゾンビでもヴァンパイアでも無くて『悪鬼(グール)』という設定になっております。
某作のオマージュの他にも唐突に日本の「座頭市」に関するオマージュがあったりと、何だか監督の趣味を伺わせる部分の多い作品です。
映画のノリ的には、いわゆる『バトルアクションホラー』の系統に位置する感じの内容で、大量の怪物を相手に主人公達が大乱闘するようなお話です。
でもって、その手のお話にありがちなパターンどおりに、そんな深いストーリーとかはありませんが、ヒロインに当たる『2丁拳銃を使うお姉ちゃん』の『怪物退治のプロかと思いきや、その正体は…』って設定は、なかなか意外性があって面白かったかも?
お話の展開が非常に速くて、序盤からバリバリとバトルシーンに突入するので、物語のテンポが良いのはよいところですね。
ただ、中盤がキャラの設定を語るドラマパートになっているのですが、その合間の戦闘シーンがやや地味で中だるみ気味になってしまい、ちょっと退屈に感じられたのは惜しい所です。
予算的に厳しかったのかもしれませんが、中盤でも見せ場があればもっと良かったかも?
特撮のレベルはB級としては並って所ながらも、アクションは割りと力が入っている感じなのですが…
流石に全員が一流のスタントを雇う事が出来なかったせいか、場面によって微妙に動きのキレが悪くなるシーンが散見されたのは残念なところでした。
特にラストの『グールの女王』との対決のシーンは、ストーリー的に最も熱く盛り上がる面白いシーンなのに、アクションがいま一つだったのは気になったかも…
でも、ラスト~オチへの妙に能天気な流れは、なかなか良い味を出してると思います。
総評としましては、とりあえずアクションホラーとしては及第点レベルの『ごく普通に楽しめるB級アクションホラー映画』といった感じの作品です。
内容的には全体的にそこそこ面白いのですが、絶賛する程の突出した部分も無いので、『本作ならでは』のウリとなる部分が弱いのが難点かな?
「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(の後半部分)みたいな感じの、ハチャメチャな感じのバトルホラーが好きならばそこそこ楽しめる作品だと思いますので、そういうノリが好きならば観ておいても損は無い一本と言えるでしょう。