NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「その男ヴァン・ダム」(65点/アクション:結構オススメ)

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■■■「その男ヴァン・ダム」■■■
(65点/アクション:結構オススメ)

 かつては90年代を席巻した肉体派のアクションスターであるジャン=クロード・ヴァン・ダムだったが、今となっては体力の衰えと『体を張ったアクション』というジャンルが時代遅れとなった事から、低予算映画への出演ばかりとなってギャラは急降下し、かつての人気をすっかり失って貧困にあえぐ生活を送っていた。

 そんなある日、たまたま郵便局へと立ち寄った彼は、強盗事件に巻き込まれた挙句に強盗犯へと間違えられてしまい、警察によって包囲され郵便局へと閉じ込められてしまう。

 犯人と交渉して事態の収拾を付けようと努力する彼だったが、やがて集まってきたマスコミや彼のファンによって、事態はますます大混乱に陥ってしまうのだった…


 ジャン=クロード・ヴァン・ダムが製作し『本人役』で出演したという、セルフパロディ的なアクション映画。

 予告とかだとセルフパロディの『コメディ映画』っぽい扱いを受けてた本作ですが、いやはやどうして予想とは違って『非常に良いお話』でした。

 いや、冗談抜きで『ヴァン・ダム最高傑作』と言っても良い作品かも?
 (まあ、普段の彼の作品とはメチャクチャ方向性が違いますが…)

 お話の内容は、コメディと言うよりも『ヴァン・ダムというキャラを主人公に据えた人間ドラマ』といった感じの内容で…

 ヴァン・ダムの半生をストーリーの設定に織り込みつつも、彼が実際に苦境に立たされた時にどういった行動を取るかという事を描く事で、『ヴァン・ダム』というキャラクターを物凄くシッカリと魅力的に描いております。

 また、ヴァン・ダムって肉体派というイメージとあまり演技が上手くない事から、脳ミソまで筋肉馬鹿みたいなキャラ役が多いのですが、本作は『本人役』という事もあってか、とにかく演技に熱が入っています。

 特に終盤のヴァン・ダムが自分の人生観を画面に向かって語るシーンは、ホントに胸が熱くなるような思いがしましたよ。

 最近の作品では、ヴァン・ダムも割と演技が上手くなっていたのは認識してたのですが、ここまでシッカリとした演技の引き出しを持ってたとは、ちょっと驚きでした。

 ストーリーも、過度にヒロイックになりすぎず、また過剰な自虐ネタという訳でもなく、なんとなく『ままならない感じ』がヴァン・ダムというキャラを非常に人間臭く魅力的に描いていると思います。

 いや、ホントに『ヴァン・ダム新境地』って感じの作品で、素直に感心させられたタイトルでした。


 総評としましては、『ヴァン・ダムの自伝風のヒューマンドラマ』として観るなら、非常に良く出来た作品だと思います。

 ただ、予告のような『コメディ的なノリ』や、いつもの『ヴァンダミングアクション』みたいなノリを期待してると、ちょっと肩透かしを食らうかもしれません。

 でも、ヴァン・ダムという俳優が好きで、彼の作品を何本か観た事がある人なら素直に楽しめるタイトルだと思いますので、ファンなら必見の作品だと言えるでしょう。