■■■「悪霊の棲む館」■■■
(65点/オカルト:結構オススメ)
幽霊の実在を科学的に究明する『心霊ハンター』として知られるカーター・シームズは、アリゾナ州のクイーン・クリークという街で『20年前にとある牧師の一家が何者かに惨殺された』という幽霊屋敷の調査を依頼される。
彼女は、助手として組むこととなったビデオ技師やライターと共に屋敷の調査を開始するが、屋敷の調査を進めるうちに20年前に起こった殺人事件の恐るべき真相を知ることとなって行くのだった…
幽霊屋敷の調査を行った心霊学者が恐るべき事実と心霊現象に遭遇するという、幽霊屋敷もののオカルトサスペンス映画。
ドキュメンタリータッチの内容で、一応は『実話をベースにしたフィクション』という位置づけになっていますが、設定やらストーリーやらが異常に良く作られているので流石に『ホンマかいな?』って感じです。
まあ、話半分に『ドキュメンタリー風味の作品』と考えておいた方が良いかな?
タイトルを見ると「悪魔の棲む家」のパクリものっぽい感じですが、単なる『幽霊屋敷もの』ではなく、『幽霊屋敷を科学的に調査を行う』という内容の作品で、イメージ的には「ヘルハウス」みたいな感じに近い作品ですね。
ただ、オカルトものやショッカーものという印象よりも、むしろ『サスペンス的な要素』が非常に強いため、『幽霊屋敷もの』というよりも『心霊サスペンス』と割り切って観た方が良いかもしれません。
ストーリーや設定がなかなか良く出来ており、現実の『科学的側面からの心霊調査』設定を取り入れつつ、物語の中でしっかりと解説しながら描いているため、表現にリアリティがあって『非常にお話に説得力がある』のは良いところですね。
こういう細かい部分をしっかりとフォローしてる丁寧な作りのB級作品は、作品自体の完成度も高い事が多いので非常に好感が持てます。
またサスペンスとしても謎の提示の仕方や伏線の張り方も上手くて、『この設定にどんな秘密が?』ってのを考えさせつつも、ラストの展開では『ああ、なるほど』と納得できる作りなのは、なかなかに上手いところでしょう。
ただお話のプロローグで、いきなり『盛大なネタバレ』が行われる(というか原題だと『タイトルそのものがネタバレ』という)ため、先の展開がある程度読めてしまうせいでストーリーの緊張感が少なくなってしまっているのは、ちょっと残念なところかも?
と言うか本編がネタバレされてるせいで、むしろ本編終了後の『謎解きプロセス』が一番怖いというのは如何なものかと…
(でも最初のネタバレが無かったら終盤の展開が理不尽に感じるかもしれないので、痛し痒しと言ったところか?)
あと『お話そのものは非常に面白い』のですが、ラストの謎解きシーンが延々とモノローグで伏線を回収するという展開は、もうちょっとなんとか成らなかったかなぁ…とも思いました。
この辺の謎解きが、もう少し上手くストーリーの中に組み込まれていれば、割と傑作になったんじゃないかと思われるので、ちょっと惜しい部分ではありますね…
総評としましては、個人的には全く期待していなかったのですが、なかなかどうして予想外に良く出来た『掘り出し物的な佳作ホラー映画』でした。
『心霊サスペンスもの』とか『サイコスリラー』ものとかが好きな人ならば、ごく普通に楽しめるレベルの作品だと思いますので、その手の作品が好きならば観ておいて損は無いタイトルだと言えるでしょう。
つか、コレってどう考えても『タイトルのパチモンっぽさ』と『パッケージの地味さ』で損をしてる作品だよなぁ…
日本で販売するメーカーは、その辺をもうちょっと考えて欲しいですよ。