■■■「ザ・クラッシュ」■■■
(60点/サスペンス)
昇進を間近に控えた将来有望な看護師のブランディは、金曜の夜に友人と飲みに行った帰りに交差点でホームレスらしき一人の男性を轢いてしまう。
しかし、事件が明るみに出る事で自分の昇進が危うくなると考えた彼女は、男性を車に乗せたまま自宅へと連れ帰ってしまい、恋人と一緒に事件を隠蔽しようとするが…
交通事故を隠蔽しようとした女性が巻き込まれるトラブルを描いた、スチュアート・ゴードン監督によるサスペンススリラー映画。
タイトルだけ見ると、某アカデミー賞にノミネートされたサスペンス映画と勘違いしそうですが、当然ながら特に関係はありません。
スチュアート・ゴードンというと、ホラーファン的には『クトゥルフ系のホラーを良く撮ることで有名な監督さん』ですが…
ぶっちゃけこの監督のクトゥルフ系ホラーはイマイチな事が多く、逆にヒットしてるのはホラー以外の作品なので『むしろホラー以外の分野の方が才能があるんじゃないか…』ってぐらいで、本作もシチュエーションスリラーとしては割と良作です。
お話的には、ある女性が事故を隠蔽しようとするんだけど、それが原因で新たなトラブルに巻き込まれていくという、まあ割とよくあるパターンのお話ですが…
本作の特徴は、とにかくヒロインが自己中心的で物凄くイラっとする事。
一応、シチュエーション的には『事故に巻き込まれて仕方なく…』みたいな展開なのですが、『それ以前に、お前は性格悪いだろ!?』としか思えないような部分が多くて、同情の余地が一切感じられないのは凄いところですね。
ストーリーもシチュエーションスリラーとしてはそこまで捻りの無い展開で、オチも割と簡単に予想が付いてしまうのですが、このキャラ設定のお陰で『ヒロインがどんどん窮地に追い込まれていく』事にむしろカタルシスが感じられるというブラックな作りは、なかなか上手い構成では無いかと。
舞台の主軸となる場所が、最初から最後までガレージの中だけで『余りに広がりが無さ過ぎる』ので、もうちょっと舞台を広げるようなシチュエーションがあれば、もっと面白くなった気はするので、その辺はもう一工夫欲しかったかも?
総評としましては、割とありがちな内容ながらも『コンパクトに手堅くまとまったシチュエーションスリラー映画』だと思います。
強く推すほどでは無いものの、普通にそこそこ面白い内容なので、その手の作品が好きな人ならば『観ておいても後悔はしないレベルの一本』だと言えるでしょう。
良作ながらも基本的に小粒な感じの作品なので、大作感とか過剰な期待をしなければ楽しめると思いますので、まあお好みで…