(35点/オカルト)
看護士の裕子は、病院で芙季絵(ふきえ)という少女の担当を任されてから奇妙な現象に襲われるようになる。
存在しない筈の『全身が真っ黒い少女』の姿を目撃し、自宅でも奇妙な現象が起こるようになり情緒不安定に陥ってしまった彼女を心配した アパートの隣室に住む大学生の徹也は、彼女の様子を確かめる為に彼女の部屋を訪れるが…
「呪怨」シリーズでお馴染みの『呪われた家』に関わった人間が陥っていく『呪いの連鎖』を描いた「呪怨」シリーズの最新作。
「呪怨」シリーズの製作から10周年を記念した作品で、同時期に公開された「呪怨 白い老女」と姉妹作に当たる作品になります。
(ちなみに、こちらのパッケージのキャッチコピーは『怨み続けて、10周年』です。(笑))
ヒロインに加護亜依が主演とか、妙に豪華のキャスティングで話題となった本作ですが…
結論から言ってしまうと、ダメと言うよりも『コレは違うだろ?』って感じの作品です。
本作はシリーズの監督である清水崇氏は、監督ではなく監修という立場だったようですが、同時に公開された「白い老女」の方は「呪怨」らしさを上手く取り込んで「オリジナルの新作として昇華した作品』になっていたのですが、こちらに関しては「呪怨」らしさが全く感じられません…
つか、ぶっちゃけ『コレって「呪怨」である必然性とか全く無いよね?』ってのが正直なところ。
確かに『芙季絵』と『黒い少女』の設定とかは奇抜で面白いのですが、「呪怨」の設定である『呪いの連鎖』とは何の繋がりも無いですし、流石に唐突すぎです。
呪われた少女の叔母が『陰陽師』とかって設定もあまりにもご都合主義的で、「呪怨」の世界観にも全く合ってないですし、どう考えても無理がありすぎですし…
(それこそ、ハリウッド版の「THE GRUDGE」じゃないんですから…)
ハッキリ言ってしまうと、コレって『元々、別のホラー作品として脚本を書いてたんだけど「呪怨」ってタイトルに付けた方が売れるよね』(あと、ついでに人気アイドルとか出演させとけば完璧じゃね?)って理由で、無理矢理「呪怨」シリーズにされたとしか思えないのは、私だけですかね?
まあ「呪怨」ってタイトルを切り離して考えた場合は、設定とかはそこそこ面白いですし、純粋に『オリジナルのJホラー』として観ると『そこまで酷い作品では無いかな?』とは思います。
でも、それでも他人にオススメ出来るような内容では無いかなぁ…ってのが正直な
ところですけどね…
ちなみにこちらも「白い老女」と同様に尺が60分なのですが、こちらはむしろ『オリジナル設定を活かしたオカルトホラーっぽいお話』にして、尺をしっかり90分使って作品を作った方が面白いタイトルになったんじゃ無いかなぁ?
少なくとも「呪怨」シリーズとして売り出さなかった方が、『叩かれる要素』は無くて良かったんじゃないかと思うんですけどねぇ…
総評としましては、単純に「Jホラー」として見るならば『設定は面白いんだけど、内容に練りこみ不足の感じられるD級レベルのホラー映画』って感じの一本ですね。
『とりわけ推すような要素もない』ですが『キレて暴れたくなる程には酷くないレベル』なので、『なんとなく気になってる人』や『出演者のファン』ならば見てみても良いってレベルの作品ではないかと…
(今までの「呪怨」シリーズを見て無くても、全く問題ないようなお話ですしね。)
ただし「呪怨」シリーズの新作として見ると、ハッキリ言って評価のしようもないような『箸にも棒にも引っかからないレベル』の作品って感じかなぁ?
「白い老女」の方がかなり良く出来ていたので、もう『どうして、こうなった!?』って感じでホントに残念な限りですよ。
むしろ、「呪怨」ファンの人こそ『スルーしてしまっても良いレベルの作品』かもしれませんな…