■■■「ドゥームズデイ」■■■
(65点/アクション)
2008年のスコットランドに、治療方法が一切不明で致死率の極めて高い新種の『死のウイルス』が大発生。
対応策の無いイギリス政府はウィルスの発生地域周辺を巨大な鉄の壁で覆い、スコットランドを世界から隔絶する事によってウィルスの拡散を防ぐという強攻策を実施する。
この施策によってウィルスの蔓延は防がれたと思われたが、それから25年後のイギリスで再び『死のウィルス』が発生。
かつて隔絶されたスコットランドに現在も生存者が居る事を発見した政府は、スコットランドに『ウイルスの治療薬』もしくは『抗体の保有者』が存在するのではと考え、特殊部隊を封鎖地域内へと派遣するというミッションを決行する。
しかし世間から隔絶された『封鎖地域』は、荒くれ者たちが徘徊し暴力によって支配された恐るべき『無法地帯』と化していたのだった…
という訳で、劇場にて「ドゥームズデイ」を鑑賞してまいりました。
「ドッグソルジャー」でバトルホラーを「ディセント」で閉鎖環境型のホラーを撮り、その実力を顕わにしたホラー界の期待の新鋭のニール・マーシャル監督ですが、今回はホラーではなく『SFバトルアクション映画』という事で、どんな仕上がりになるかと楽しみに鑑賞させていただいたのですが…
なんと言いますか『良い意味でも悪い意味でもB級全開のバカ映画』って感じの作品でした。
いやもう、とにかく『物凄く中身の無い作品』です!!
映画の中身を簡単に説明すると『ヒロインのお姉ちゃんが、無法者どもと戦って、追いかけっこして、戦って、追いかけっこして、戦って…』ってのを延々と90分間繰り返すだけのお話で、ストーリーなんて有って無いも同然の内容です。
へちメンド臭いストーリーとかは殆ど無くて、とにかく『バトルシーンの連続』の映画なんですが、『文明の荒廃した近未来』が舞台とはいえ、戦う相手が「北斗の拳」(もしくは「マッドマックス」)に登場するようなモヒカンのパンク集団とか、何故か甲冑に身を包んだ中世の騎士風の集団とか…
今時はアニメでも『そんなベタベタな設定は無いだろ!!』っていうようなノリを臆面も無く堂々と撮ってるところが、『B級上等!!』って感じで、ある意味で潔さを感じます。
まあ、あきらかに監督が『そういうノリ』を狙って作っており、ホントにイキオイだけの『凄っっっごく下らない映画』なんですが、その『突き抜けた下らなさ』を許容して面白いと感じれる人なら、なかなか楽しめる作品に仕上がっていると思います。
とにかくアクションシーンがパワフルでスピード感がある内容ですので、頭を空っぽにして楽しむには良い作品ではないかと…
ただまあ、本編の内容は確かに『B級でバカ丸出しながらも楽しい映画』なのですが、どうしても一言ツッコませて貰うとしたら『これ、なんてイギリス版「ニューヨーク1997」?』って感じ…
いや、ニール・マーシャル監督が元々ホラー畑の監督ですし、J・カーペンターのファンなんだろうというのは理解出来ますし、本作が「ニューヨーク1997」(もしくは「エスケープ・フロム・LA」)にインスパイアされて作られた作品なのは予想できるのですが…
特殊部隊出身の隻眼のヒロイン(片目が義眼)、世界から隔離されて無法地帯と化した都市に潜入、48時間の時間制限付きミッション…とか、流石に元ネタをリスペクトしすぎでしょう。
シーンによっては、音楽とかも『どことなく似た雰囲気のテーマ曲』とかが使われてたり、オチまでもが『どっかで観たようなオチ』だったり…
別にリスペクトする事が悪いという訳では無いのですが、流石にここまで設定やら何やらがソックリだとどうしてもオリジナル版と比べてしまわざるを得ません。
そうすると、『ヒロインのキャラがスネークに比べると個性が薄いなぁ…』という事や、『展開が同じパターン(敵と戦う~敵から逃げる)の繰り返しで単調かなぁ…』とか、良い部分よりも不満点ばっかりが目に付いてしまうんですよね。
(やっぱ、スネークの『男臭いカッコ良さ』に比べると、どうしてもキャラが霞んでしまう…)
リスペクトするにしても、もうちょっとオリジナリティを強く持たせて『ニール・マーシャル監督なりの個性』を全面に押し出して欲しかったです。
そういった意味では、若干ながら『期待はずれ』な部分とも言えるかも…
あと個人的に気になったのは、本編に『お馬鹿な要素』を無理矢理大量に詰め込みすぎたせいか、舞台背景を語る為に『説明的なセリフ』を語るシーンが妙に多くて、ちょっと冗長な部分が感じられた点かなぁ?
ここまで色々と詰め込もうとせずに、もうちょっとシンプルな作りでも良かったかもしれません…
でもまあ、『アクションシーンの派手さや爽快感』はかなり良い感じですし、特にラストのカーチェイスシーンでの『爽快感あふれるお馬鹿アクション』は一見の価値アリかな?
いや、ラストの展開はホントに『かなり突き抜けたバカバカしさ』で笑わせて貰いました。
総評としましては、単純に『頭をカラっぽにして楽しめる、お馬鹿アクション映画』としては、なかなかに良く出来た作品だと思います。
『中身の全く無いB級アクションを純粋に楽しみたい』という人や『お馬鹿映画大好き』という人なら、文句なしにオススメできる一本でしょう。
逆に、『映画に対してテーマ性やストーリー性を求める人』には全く合わない作品だと思いますので、そういう人はスルーしてしまって良い作品では無いかと…
あと、元々がホラー畑の監督だけあってか『バイオレンスシーンの残虐描写が結構どギツい』ですので、そういうのが苦手な人は要注意かも?
アクションシーンとかも、割と血みどろの展開ですので…