NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

ゲーム感想:「Steins;Gate(シュタインズゲート)」(Xbox360)

イメージ 1

■■■「Steins;Gate」:(ADV/85点)■■■


 先日よりプレイしていたXbox360Steins;Gate(シュタインスゲート)をようやくオールクリアいたしました。

 という訳で、いつもどおり日記に感想でも書こうかと思ったのですが、このゲームの感想って『ネタバレを全く含まずに書く』のが非常に困難であるため、今回は別記事を起こしてレビューを書く事とします。

 という訳で、今回のレビューは『若干のネタバレありのレビュー』となりますので、ゲームをこれからプレイしようと思っている人は読まない事をオススメしますよ。
 (念の為に、ネタバレの前には予告改行を入れておきます。)


 さて、この「Steins;Gate」がどんなゲームなのか簡単に説明しますと、まあいわゆる『タイムトラベル』を題材としたSF風味のアドベンチャーゲームって言った感じの内容で…

 とある偶然から『過去に向かってメールを送る装置』を発明してしまった若者が、その装置によって引き起こされてしまった未来の『運命』を回避する為に奔走するみたいな感じのお話です。

 『過去の小さな変化によって未来が大きく変わってしまう』という、いわゆるバタフライエフェクトの理論や、独自のタイムトラベル理論を盛り込んで、なかなか面白い作品に仕上がっていると思います。

 ゲームのシステム的には、『オーソドックスなテキストアドベンチャーゲームなのですが、グイグイと読む人間を引き込んでいくストーリーの面白さと、魅力的なキャラクターの造形によって、ホントに止めどころを失うぐらい面白くて、あまりに先が気になるのでプレイしてる間はマジに睡眠不足になりましたよ…


 そんな訳で、カウントダウン以下はネタバレ含む感想となります。


*10*

*09*

*08*

*07*

*06*

*05*

*04*

*03*

*02*

*01*


*ここより、ネタバレ開始*


 ストーリー的にはアドベンチャーゲームといっても、およそ一本道な印象ですね。
 自分で『ストーリーを進めて行く』と言うよりは、『お話を読み進めて行く』といった感じ…

 でも、自分でも携帯メールに返事を出すことで、ストーリーに干渉できる「フォーントリガー」というシステムのアイデアは面白いと思いました。

 ストーリー分岐として、一応は各キャラ別のエンディングはありますが、分岐というより殆どが『マルチバッドエンド』みたいな感じですが…

 ストーリー的に『各キャラ別エンディング』~『トルゥーエンディング』へと繋がっていくというノリは、「CHAOS;HEAD NOAH」と通じるものがあるかも?

 ただ、キャラ別の個別ルートに関しては「CHAOS;HEAD NOAH」みたいな後付けでは無いので、無理なくストーリーに組み込まれており、非常に良く練られている印象でした。

 個人的にはフェイリスのルートとか、最後のDメールを送るのを真剣に悩んでしまうぐらい物語に入れ込んでしまいましたよ…
 (最後は、本気で泣きながらメールを送信しました。)


 また、本作ではバッドエンドを乗り越える事によって、『主人公が人間的に成長していく姿』が描かれてるのは上手いですね。

 最初は『痛い厨二病キャラだなあ』と感じていた主人公に、だんだん共感できるようになってきて、最終的には思わず厨二病カッコ良いじゃん!!』と感じてしまいます。

 あと、ヒロインである紅莉栖も、最初は『なんだこの生意気な小娘は?』って感じなのですが、ストーリーが進んでいくと『チクショウ、メチャクチャ良い娘じゃないか!!』と、思わず『主人公と気持ちがシンクロしてしまう』ような構成の上手さには、素直に感心してしまいました。


 ただ、キャラの描き込みに関しては素晴らしいと思うのですが、ストーリーに関しては『もうひと捻り欲しかったかな?』と感じたのも正直なところ。


 確かに、かなり良く練られてて伏線の回収の仕方とかも上手いと思うのですが、後半に進むに従って、SF設定がかなり『トンデモ理論』になってくる部分が出てきて『ちょっと強引な部分が多すぎるかな?』と感じてしまいました。

 特にアトラクタフィールド理論とか、あまりにもオカルト的すぎてファイナル・デスティネーションかよ?』と思わずツッコんでしまいましたよ。

 まあ、現代物理学(特に量子力学)は突き詰めると『オカルト的な話になってしまう』ので、あながち間違っているという訳でも無いのですが、この辺はもうちょっと『科学的なハッタリ』を効かせて説得力を持たせて欲しかったです。


 あと「電話レンジ(仮)」の機能も、ちょっと無理があるかなぁ?

 「電話レンジ」が超技術でマイクロブラックホールを生成するのはともかくとして、マイクロブラックホールは生成された瞬間に『電話レンジの底を貫通して地球の中心に向かって落ちていく』と思うんだけど、どうやってレンジ内にブラックホールを保持してるのかと…
 (LHCの方は『磁力トラップ』か何かを使って、ブラックホールを捕まえてると思われ。)


 他にストーリーに関しても、序盤でちょっとヒントを出しすぎているせいで、トゥルーエンドルートに入った時点で『ちょっと先が読めてしまう』のが残念だったかな?
 同じSFアドベンチャーとして比較してしまうなら、「Ever 17」みたいな『もっとプレイヤーの度肝を抜くような仕掛け』が欲しかったです。
 (まあ「Ever 17」は、個人的に『ゲーム史上で最高に度肝を抜かれた作品』なので、コレは高望みしすぎかな?)

 あと、「CHAOS;HEAD NOAH」と違って『明確なラスボス』が存在する訳じゃないので、ラストがちょっと盛り上がりに欠けるのも物足りなさの原因かも?

 可能ならば、上記の何点かで『もう一捻り』あれば完璧だったと思います。
 (まあ『SF設定』に関しては、SF者じゃなければあまり気にならない部分かもしれませんが…)

                             *

 とまあ、細かいツッコミをウダウダとしてしまいましたが、逆に『本編が良く練りこまれてて面白かった』からこそ、そういった部分が気になってしまった訳で…

 実際には、そういったツッコミどころを差っ引いても『物凄く良く出来たSFアドベンチャーゲームだと思います。

 レベルとしてはアドベンチャーゲームとして1年に1本出るか出ないか』ってぐらいの良作ですし、SFアドベンチャーとしては「Ever 17」以来の快作と言っても差し支えないレベルでしょう。

 アドベンチャーゲームが好きで、厨二病的なキャラに抵抗が無ければ、間違いなく遊んでおいて損は無い作品だと思います。

 体験版をプレイして少しでも先が気になった人は、間違いなく買いの一手ですよ。
 (体験版はホントに『触り』の部分でしか無くて、中盤から物凄く面白くなってきます。)

 いや、久々に『ストーリーについて色々と語りたくなる』ぐらいの良い出来の作品でしたので。


 ただ中高生とかの頃に、ここまで完成度の高い作品に触れてしまうと、『後の人生に変な影響を与えてしまう』かもしれないので、逆の意味で要注意の作品かもしれません。(笑)
 (『厨二病キャラ』に妙な憧れを抱いてしまう危険がある意味で…)