NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「鬼月」(55点/オカルトサスペンス)

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■■■「鬼月」■■■
(55点/オカルトサスペンス)

 恋人とのトラブルが原因で都会を離れ、砂漠の片田舎で中国系の女性『ミス・ウー』の屋敷で家政婦として働く事となったアリッサは、風水と卦を重んじる雇い主の奇妙な習慣に戸惑いながらも、その屋敷での仕事をこなしていく。

 しかし屋敷で働くうちに幽霊のものと思われる奇妙な幻聴や幻視を見るようになった彼女は、今が死者たちの霊が死後の世界から解き放たれる『鬼月』であると教えられ、『鬼月』の一ヶ月の間は霊たちから身を守るために彼らの風習を守るようにと言い聞かされる。

 そんなある日、かつてここで働いていた『メイリン』という家政婦が行方不明になったという話を知った彼女は、自分の見る霊はメイリンの霊ではないかと疑いを抱くようになるが…


 中国の先祖の霊が帰ってくるという『鬼月』という習慣を題材とした、オカルトサスペンス映画。

 詳しくは知らないのですが『鬼月』って言うのは、旧暦の7月に当たる一ヶ月の事で、その期間はあの世の門が開き『先祖の霊が帰ってくる』とされているようです。
 いわゆる日本の『お盆』に当たる中国の習慣という事でしょうか?

 Jホラーやアジアホラーで、日本や韓国の風習が題材として取り上げられる事は多いですが、中国のオカルトネタを取り扱った作品ってのは意外と少なくて、ちょっと斬新な感じですね。

 サスペンスとしてのストーリーの構成がなかなか良く出来ており、かつての家政婦が残した手がかりや、霊からの謎のメッセージ、怪しげな隣人の行動やらと、謎に対する伏線の張り方や謎の提示の仕方が上手くて、意外と先の読めない展開が面白いです。

 『コイツが犯人の気がするけど、こういう可能性も…』というフェイクの手がかりやミスリードの仕込みが良く出来ており、伏線も割とキレイに回収されているので、サスペンスとしての完成度はなかなか高い印象ですね。

 ただ、逆にオカルトとしての『怖さ』はイマイチな印象で、中国の奇妙な風習を描いた雰囲気作りや、霊の出現の演出に関してもそこまでのインパクトは無くて、Jホラーもどきの『どこかで見たようなビジュアル』のシーンばかりが続くのは、ちょっと残念な感じです。

 特撮のレベルもあまり高くなくて、全体的にチープな印象が漂ってしまっているのは、ストーリーが良く出来ているだけに勿体無い感じでした。

 あと『主人公のかつての恋人』とか、本編とは殆ど関係がないのに『コイツを無理やりお話に絡める必要があったのか?』とか、ストーリーに関するツッコミどころも無くはない感じですな…


 総評としましては、全体的に低予算なのが見え隠れする部分が気になるものの、お話としては割と良く出来たオカルトサスペンス映画だと思います。

 派手さは無いですが、ストーリー重視の人であればそこそこ普通に楽しめるレベルの作品だと思いますので、サスペンス要素の強いタイプのホラー映画が好きであれば、とりあえず観ておいても後悔はしないレベルでしょう。

 和風(正確には東洋風)テイストの洋物ホラーとかが好きな方であれば、結構オススメかもしれませんね。