■■■「デフロスト」■■■
(55点/生物パニック)
北極圏のバンクス島で地球温暖化を調査する環境学者のクルーペン博士らは、氷河で凍結したマンモスの死体とその死体を食べていたシロクマを発見する。
しかし、死体を食べていたシロクマがその直後に変死した事から、博士はマンモスの死体が未知の感染症にかかっていたのではないかと考え調査を開始する。
博士の娘であるエヴリンは、途中参加の3人の学生と共に遅れて研究所へと到着するが、研究所にはシロクマの死体が残されているのみで人影が無く、先発隊とも連絡がとれない状態である事から不審なものを感じるが、やがて博士の助手のジェーンが瀕死の状態で彼らの前へと姿を現し…
ヴァル・キルマー主演による、未知の寄生生物の恐怖を描いた生物パニックホラー映画。
地球温暖化の影響で溶けた北極圏の永久凍土のマンモスの死体から『未知の寄生生物』が出現した…という、まあプロットとしては割とありがちな設定の作品です。
内容的には一応『生物パニック』と分類してますが、寄生生物は殆ど『感染症』のような扱いなので、どちらかというと医療サスペンスみたいな要素の濃い作品ですね。
寄生生物によるパンデミックを食い止めようとする人間と、自分本位で助かりたいだけで行動する人間との確執とか、だれが感染者であるかの探りあいとか、寄生生物の発見を報告しなかった博士の目的は?
…といった感じで、登場人物のキャラクターの描き方や伏線の張り方も割と良く出来ており、お話そのものとしてはそこそこ面白くて悪くない印象です。
ただ『生物パニック映画』としてみると、正直言って物足りなさの残る内容だというのも事実。
肝心の寄生生物は襲撃シーンとかが描かれる訳でもなくて殆どマトモに出番がありませんし、盛り上がるシーンも全体的に少なめ。
お陰で『寄生生物である事の嫌悪感』とかも殆ど感じないですし、ハッキリ言って『ウィルスや細菌による未知の感染症』にしてたとしても内容的に全く問題が無かったんじゃないかというレベルですので、全体的にもうちょっと見せ方に工夫が欲しかったです。
もっと『寄生生物が集団で人間に襲いかかるシーン』とか『寄生された人間がエグい死に方をするシーン』とかが描かれてれば、だいぶ怖さも増して面白くなったと思うんですけどねぇ…
総評としましては、全体的に『完成度もそこそこ』ですし『ストーリーも悪くない作品』なんですが、演出やら何やらに『もう一味あれば』という感じで、どうにも『非常にもったいなさを感じる作品』でした。
生物パニック系の映画や医療サスペンス系の作品が好きであれば、そこそこ楽しめる作品ではあると思いますが、どちらも『強く推すほどのレベルには達していない』ってのも正直なところ…
まあ、総じて悪くない出来の作品ではありますので、その手のジャンルが好きであれば『とりあえず観てみても後悔はしないレベル』のタイトルだとは思いますよ。