■■■「キャビン・フィーバー 2」■■■
(35点/パニック)
郊外の森の中を走るスクールバスが何らかの生き物をはねて殺してしまう。
死体の損傷が余りにも激しかったため、調査した保安官は『シカの死体』だと判断して事故を処理する。
しかし、実はその死体は、森の中にある山小屋で発生した『謎の感染症』から生き残ったポールの死体だったのだ…
その頃、街では高校でプロム(卒業パーティ)がまさに行われようとしており、優等生のジョンは憧れのキャシーをプロムへと誘うも断られてしまい、傷心のまま友人のアレックスと一緒にプロムへと参加する事となる。
しかし、街では山小屋の貯水池から広がったウィルスによって、山小屋を襲った『謎の感染症』が蔓延しつつあったのだった…
山小屋で発生した『謎の感染症』の恐怖を描いた「キャビンフィーバー」の正統な続編に当たる、病原菌もののパニックホラー映画。
前作で山小屋のパーティを襲った『謎の感染症』が街へと広がって行き…という感じのお話なのですが、前作とは雰囲気もノリも全く違うお話になってしまってますね。
前作は『得体の知れない感染症の恐怖』と『仲間同士の疑心暗鬼』を描いた、パニックホラーとサスペンスの要素を併せ持ったなかなかの佳作でしたが、今回は単にグロいだけの『感染ものパニックホラー映画』になってしまったような印象。
サスペンス的な前作のノリが好きだった身としては、今回のノリの変わりっぷりは非常に残念としか言いようがありません。
と言うか、そもそも山小屋(キャビン)なんか全く出てこないのに、「キャビンフィーバー2」ってのはどうなんだろう…
まあ別にノリが変わっても面白ければ問題ないのですが、肝心の映画の中身の方も、ちょっと微妙な印象。
『感染症』を題材にしているのですが『感染プロセスの怖さ』とかって部分は殆ど無くて、とにかくバンバンと人が派手に死にまくります。
大した前振りも無く、そりゃもう『バンバンと人が死にまくる』のでテンポが速くて観てて退屈はしないのですが、ストーリーらしいストーリーも無いですし『恐ろしく中身の無い映画』になってしまった感じで、なんか『イキオイだけで作られたのゾンビ映画』とかを見せられてるような気分になったのは自分だけ?
あと本作の特徴としては、登場人物の全員が『恐ろしくムカつくキャラ』である事。
主人公やヒロインすらも含めて、とにかく『イラッと来る』ようなキャラ付けがなされているためキャラに魅力が全く無いのですが、逆に『感染が拡大して登場人物が次々と死んでいく』シーンはなかなかに痛快で、そういう意味では『キャラ付けに成功している作品』とも言えるのかも?
ただ『イキオイだけ』の作品にしても、オチはあそこまで投げっぱなしにせずに、もう少しシッカリと付けて欲しかったですが…
総評としましては、中身はグテグテでツッコミどころも多いけど、とりあえず『イキオイだけ』は認める事の出来るレベルの作品だと思います。
細かい事は気にせずに『登場人物が次々と血みどろになっていく作品を観たい』というのであれば、そこそこ楽しめる一本だと言えるでしょう。
ただ前作のノリが好きだった人が『続編として楽しめるか?』と言われると、ちょっと厳しいところかなぁ?
ノリというか『ジャンルすら変わってる』ぐらいのイキオイなので、もはや『前作とは全く別の作品』と割り切って観た方が良いかもしれません。
(というか、前作が好きだった人はむしろ『観ないほうが良い』とかって話も…うにゃむにゃ……)
そこまで絶えられないほど『ツマんない作品』ではないですが、間違いなく『下らない作品』ではあるので、そういった下らなさを許容できて『こういったジャンル』が好きならば、とりあえず観ておいても良いってレベルかもしれません。