■■■「ビッグ・バグズ・パニック」■■■
(55点/モンスター)
サポートセンターで働くダメ社員のクーパーは、ある日、オフィスで奇妙な高周波のような音を聞いたと同時に唐突に気を失ったと思うと、数日後に『巨大な繭』のようなものに包まれた状態で目を覚ます。
事態にに混乱する彼だったが、目を覚ました直後にオフィスで全長が1m以上もある『巨大な昆虫(バグ)』の襲撃を受ける。
巨大昆虫をなんとか撃退したものの、街全体が既に昆虫の襲撃によって壊滅状態にある事を知った彼は、会社の社長の娘であるサラや他の生存者たちと共に『安全な場所』を目指して街からの脱出を図るが…
正体不明の巨大昆虫に襲撃されて壊滅した街からの脱出劇を描いた、巨大生物もののモンスターパニック映画。
タイトルとかからしてソレっぽい感じですが、いわゆるB級パニック映画の文法に則って『B級路線』を狙って作られた『B級モンスター映画』で、ノリ的には「スパイダー・パニック」の『巨大昆虫版』とでも言うような感じのお話です。
この手の『狙ったB級モンスター映画』というと「トレマーズ」やら「スパイダー・パニック」やら、なかなかに良作が多いので本作も割と期待をしてたのですが…
うーん、何だろう…上手く言えないですけど何か『コレは違う…』というか、ちょっと微妙な印象の作品でした。
映画の内容としては、それなりの見せ場もあってテンポも良く、低予算ながらもCGと原寸大の模型を使ってモンスターの襲撃シーンとかも丁寧に作られてて、全体的には『割と良く出来た部分も多い作品』なのですが…
非常に残念なのが、とにかく『キャラクターに魅力が感じられない』という事。
主人公が非常にヘタレなのは、まあ、これは後で『やる時はやるぜ!!』ってのを見せる為の演出なので良いとしても、ヒロインを含めた他の登場人物も今ひとつ魅力が感じられなくて、どうにもお話に入り込めない。
『個性的なキャラクター』を狙ってキャラ付けをしてるっぽいんだけど、どうにも演出やキャラ付けが空回りしちゃってる印象です。
そして、それよりも何よりも最も残念なのが『モンスターに魅力が無い』って事。
モンスターそのものがあまり凶悪って訳でもなく、襲撃シーンとかも単調で個性が無くて、ぶっちゃけ『武装してれば普通に倒せるんじゃない?』って程度の雑魚扱いだし、そんなに街中にウジャウジャと怪物が徘徊してるような危機的状況でもないので、とにかく全体的に緊張感がありません。
巨大昆虫の扱いが『怪物』というよりも、何となく主人公達の行く手を阻む『障害』程度のイメージでしか無い印象で、襲撃シーンに面白味が全く感じられないのが辛いところ。
他にも、主人公達の行動に全く合理性が無くて『物凄く違和感を感じた』点も気になりました。
街の人達が目の前で繭に捕えられているのに、単に『面倒だから』と言うだけの理由で放置して行ったり、怪物の襲撃を逃れる為に移動しているのに武器も持たず手ぶらで道の真ん中をフラフラと歩いていったり…
あまりに合理性を欠くので、最初は『実は主人公の夢だった』とかって夢オチでもあるのかと思ってたのですが、そういう話でも無いですし…
まあ、B級モンスター映画に『そんな理屈を求めるな』と言われるとそれまでなのですが、それにしてももう少し『リアリティを出すような演出や設定』があっても良かったんじゃ無いかと…
総評としましては、何か不満点ばかり述べてしまいましたが、それらを差っ引いても『そこそこ良く出来たB級モンスター映画』ではあると思います。
ただ、「トレマーズ」やら「スパイダー・パニック」やらの良作と比べてしまうと、同じ程度の予算の作品としては、ちょっと評価が厳しくなってしまうかなぁ…って感じの作品ですね。
この手の作品が好きならば、とりあえずチェックしておいても損は無いレベルだと思いますが、他の良作のレベルを期待すると肩透かしを食らってしまうかもしれませんので、『そこそこのB級モンスター映画』という感じで、あまり期待をせずに観れば、そこそこ楽しめるんじゃないでしょうか…