NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「スペル」(55点/オカルト)

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■■■「スペル」■■■
(55点/オカルト)

 銀行で融資窓口を勤めるクリスは、ある日、ガーナッシュと名乗る老婆から自宅を差し押さえされない為にローンの返済期限の延長を依頼されるが、上司の指示に従って老婆の願いを無下に断ってしまう。

 駐車場で激昂した老婆の襲撃を受けた彼女は、なんとかして老婆を撃退するが老婆は『次はお前が請いに来る番だ』という奇妙な言葉を残して彼女の元を去っていく…

 老婆の言葉に不気味なものを感じた彼女は、近所の占い師に霊視を依頼したところ、彼女は何者かに『呪いをかけられている』という事を告げられ、やがて、その『呪い』によって彼女の日常は無残にも破壊されていくのだった…


 老婆によって呪いをかけられた女性の辿る運命を描いた、サム・ライミ監督によるオカルトホラー映画。

 サム・ライミ監督の久々のホラーの新作って事で期待していたのですが…うーむ、何というか『ちょっと期待外れだったかなぁ…』ってのが正直な感想です。

 映画のプロット的には、サム・ライミ版「痩せゆく男」みたいな感じのお話なのですが、どうにも設定が強引すぎる気がします。

 借金返済の延期を断っただけ(しかも業務で)なのに『命に関わる呪い』をかけられるとか…まず、その部分が理不尽すぎて、ちょっとストーリーに入り込めませんでした。
 (「痩せゆく男」みたいに、呪術師を轢き殺してしまったってのならまだ納得なんですが…)

 あと、他にも色々とツッコミどころはあるのですが、何よりも(ややネタバレになってしまいますが)『駐車場で大乱闘してたぐらい元気な婆さん』がいきなり死ぬとか有り得ないだろ?…って思ったのは自分だけ?

 ウリである『呪い』の表現も『怖い』というよりも『気持悪い』ってのがメインな感じで、今ひとつ怖さが感じられずオカルト映画としての印象は弱い感じ…

 逆に、初期のサム・ライミっぽい『悪趣味さ』が随所に仕込まれてて、『久々に趣味に走りまくってるなぁ…』ってのが見て取れたのは、初期からのファンとしては嬉しい部分とも言えるかも?
 (中盤の『婆さんの目玉が飛び出すシーン』とか『男性が悪魔に乗り移られるシーン』では、あまりのバカバカしさに思わず噴いてしまった。)

 ただ、悪趣味要素も面白いって言えば面白いんだけど、『この作品でそういうノリをやる必要があったのか?』ってのはちょっと疑問。

 配給会社のCMの仕方とかも『本格オカルト映画』みたいな感じだったので、てっきり「ギフト」とか「アメリカンゴシック」風のオカルトサスペンス系だと期待してたので、観てて物凄く腑に落ちない気分になりましたよ。

 むしろ、最初っからライミ監督の久々の『悪趣味映画』だって分かってれば、特に違和感も無く楽しめたと思うんだけどなぁ。

 ラストに関しても、予告とかで『衝撃の結末』みたいな事を言ってましたが、むしろ『あのオチを予想しない人』って殆ど居ないと思うんだけど…

 何か、最後の最後まで『CMにだまされた』という印象の拭えない作品でした。


 総評としましては、『オカルトサスペンス』として観ると正直言って微妙な印象だけど、バカ丸出しの『悪趣味映画』として観るなら、結構楽しめる作品じゃないかと思います。

 「死霊のはらわた」とか「キャプテンスーパーマーケット」とかの時代のサム・ライミ監督の作品のノリで、『あり得んだろ、アホか!!』とツッコミを入れながら観る分には十分面白いと思いますので、悪趣味ノリを期待するなら十分にアリな作品でしょう。

 逆にCMを信じて、普通に『怖い映画』ってのを期待してると激しく肩透かしを食らわされますので、そういうノリを期待するなら同じ『GOHST HOUSE PICTURES』製作の別の作品を観た方が良いかもしれません。