■■■「戦慄迷宮」■■■
(30点/オカルト)
小学生の頃に病気で母を亡くし引っ越す事となったケンは、10年ぶりに田舎へと帰省して幼馴染の友人たちと再会する事となる。
かつての友人であるモトキやリンと合流し旧交を温める予定の彼らだったが、そんな彼らの元に10年前に遊園地のお化け屋敷で行方不明となり、その後の消息が全く分からなくなっていた筈のユキと名乗る少女が唐突に姿を現す。
ユキが本物なのか確証を持てない彼らは、とりあえずユキの妹であるミユの元へと彼女を連れて行く事となるが、ミユの家の階段から転落したユキが意識を失ってしまったため、車で彼女を病院へと搬送する事となるが…
「呪怨」シリーズの監督である清水崇監督の最新作に当たる、『お化け屋敷』を題材としたオカルトホラー映画。
もともと、富士急ハイランドにある世界最大のお化け屋敷である「戦慄迷宮」を題材とした作品で、映画の方も劇場版では3D映像を使ってアトラクションを意識したような作りの作品だったようなのですが…
久々の清水監督の新作という事で期待してたのですが、正直に言うと『うーん、なんじゃこりゃ?』って感じの作品でした。
ストーリーはミステリーとして観るならば、プロットも良く練られており『謎解き』的な要素もそこそこあるので『まあまあかな?』と思わなくもないのですが…
それが『ホラーとしての面白さ』や『怖さ』に殆ど繋がって無いのが辛いところ。
いや何と言うか、とにかくホラー映画として見ると『全く怖くない』のですよ。
清水監督というと、ストーリーは多少グテグテでも『絵的な怖さ』の表現では天下一品というのが最大の長所の筈なのに、とにかく本作は絵的に怖い要素が殆どありません。
映像表現の手法なんかで、なかなか面白い新しい試みを色々と入れてるのは良いのですが、映像が小奇麗な感じになっただけで監督らしい『ドロドロとした怖さ』が全く感じられない。
「シャイニング」とかみたいな『キレイな映像表現としての怖さ』を狙ったのかもしれませんが、単に迫力の感じられない映像になってしまっただけのような印象で、ホントに『清水監督どうしちゃったの?』って感じです。
新しい事に挑戦しようとするのは良い事なのですが、なんか感覚がズレちゃってる気がするよなぁ…
(もしくは、オリジナルの「戦慄迷宮」を持ってる遊園地側から色々と指示でも入ったのか?)
それでもまあプロットの面白さに救われてて、単純にストーリーを追ってるだけでも退屈しない程度の作品ではあるのですが、更に厳しいのは本作の主人公役の柳楽優弥が『恐ろしく演技が大根な事』で、とにかく観ているのが辛かったです。
『感情の昂ぶった演技』とかがダメすぎて、この人はどう考えてもホラー向けじゃないと思うので、もうちょっとキャストは考えた方が良いと思うのじゃよ…
総評としましては、ミステリーとして観るならば『そこまでツマんなくは無い』ものの、ホラーとして観ると『全く見所の無いガッカリ作品』としか言いようが無いような作品です。
「呪怨」のような『鬼気迫るような怖さ』や『言いようの無い不気味さ』を期待してると、物凄くガックリしてしまうと思うので、清水作品のファンで本作に期待している人は期待値を80%ぐらい減少させてから鑑賞すると良いでしょう。
ただミステリーものとして観るならばそれほど悪い作品ではないので、「呪怨」シリーズや「輪廻」の『謎解き要素』的な部分が好きであれば、それなりに楽しめる作品だと思いますので、そういう要素が好きな人ならば観ておいても良い一本じゃないでしょうか?