■■■「クライモリ デッド・リターン」■■■
(40点/スラッシャー)
グラフトン刑務所で看守を勤めるネイトは、仲間の看守と共に凶悪犯のチャベスを含む4人の囚人を護送車で別の刑務所へと護送する事となる。
しかし、護送の最中に森の中の幹線道路で正体不明のピックアップトラックの襲撃を受けたせいで、護送車が崖の下へと転落し大破してしまい、更には混乱している隙に囚人たちに銃を奪われてしまう。
彼らは囚人たちの主導で森の中を徒歩で移動を開始するが、そんな彼らの前にアレックスと名乗る女子大生が唐突に現れ、森の中で『人間の肉を食べるミュータントの怪人たちに仲間を惨殺された』という、にわかには信じがたい話を語りだすが…
森の中に暮らす『人喰いミュータント一家』の恐怖を描いた、スラッシャーホラー映画である「クライモリ」シリーズの第3弾。
シリーズの第1弾は月並みながらも悪くない内容で、第2弾は派手に悪ノリしたスラッシャーホラーとして、最近のホラー映画としてはなかなか好調なシリーズだったので第3弾も期待してたのですが…
うーん、なんだろう『どうしてこうなった!?』って感じの3作目でした。
お話としては、護送車から逃走した囚人たちが逃げ込んだ夜の森の中でミュータント一家に襲われるって感じの展開なのですが、なんというか全体的にお話が地味です。
導入パートでは、ミュータント一家がいきなり大学生3人を様々な手段で惨殺してなかなか期待させるのですが、本編に入ると何か『囚人と看守たちのやり取り』がメインのストーリーになってしまい、ミュータント一家の出番が物凄く少なくなってしまって、とにかく『ミュータント一家の影が薄い』のですよ。
何と言うか『逃走を企てる囚人たちのクライムバイオレンス映画』に『オマケでミュータント一家が出演しています』みたいな感じ…
お話そのものもそれほど面白い内容と言う訳でもなく、殺人鬼の活躍の場が少ないので単に『緊張感に乏しいお話』になってしまってる印象。
殺し方のバリエーションはそこそこ工夫はしてるのですが、見せ方がイマイチなのか『初っ端の大学生3人を殺すシーンが一番盛り上がる』ような感じで、とにかく映画全体を通して尻すぼみな印象しかありません。
ミュータント一家も実質2人しか出てきませんし、もともとそこまで強い設定のキャラじゃないので、ゴツい囚人たちの集団を襲撃するにはどうにも役不足。
とにかく全体的に「クライモリ」らしさが全く感じられないので、この監督は『ホントはホラーじゃなくて、単にクライムバイオレンス映画を撮りたかったんじゃないだろうか?』と勘ぐってしまうのは自分だけですかね?
最後の対決のシーンも盛り上がらないですし、ラストシーンも完全に蛇足っぽい感じですし、全体的に『なんだかなぁ…』って感じの作品でした。
総評としましては、純粋にホラー映画として観ても『盛り上がりに欠ける微妙な感じのスラッシャーホラー映画』って言うのが正直なところ。
「クライモリ」のシリーズとして観るなら、ハッキリ言って『肩透かしも良いところって』感じなので、シリーズのファンならば『むしろ観なくてよい』ってレベルの作品かも?
2作目のノリを踏襲して、単純に『お馬鹿なノリのB級スラッシャー映画』にしてくれれば良かったのに…なんでこういう方向に走っちゃうかなぁ?
個人的には、とにかくガッカリな感じの作品でしたよ…