■■■「ジョーズ・イン・ツナミ」■■■
(50点/生物パニック)
とある夏の暑い日に、LAの沖合いで発生した地震の影響で巨大な津波がマリブビーチを襲う。
津波警報を聞いたライフガードのダグらは、ビーチに居た人々を津波の到着までになんとか非難させる事に成功するが、誘導に手間取った彼らは津波のせいで半ば水没した海岸の監視小屋へと隔離されてしまう。
監視小屋で救助を待とうとする彼らだったが、そんな彼らの元に深海から絶滅した筈の巨大な『ミツクリザメ』の群れが襲来。
凶暴なサメの襲撃から、なんとかして身を守ろうとする彼らだったが…
津波の影響で水没した監視小屋に取り残された若者たちが人食いザメの襲撃を受けるという、生物パニック映画。
なんか矢鱈と大層なタイトルが付いていますが、中身の方は割と普通の生物パニック映画ですね。
一応、『津波』のディザスターパニックと『人食いザメ』の生物パニックという『一粒で二度オイシイ』ってのを狙ったみたいな感じの作品ではあるのですが、元々がTV映画のせいもあって津波のシーンは(予算的に)割とアッサリしてるので、基本的には小粒レベルな『人食いザメ映画』だと思っておけば間違いないでしょう。
他の本作の特徴としては、人食いザメに『ミツクリザメ』というテングの鼻のような不気味な外見を備えたサメが登場する点でしょうか?
■ウィキペディア(Wikipedia)『ミツクリザメ』
>http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%84%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B6%E3%83%A1
ちなみに、本作のなかでは『ミツクリザメ』が絶滅種として語られてますが、実際には希少種ではありますが別に絶滅種という訳ではありません。
『ミツクリザメ』は深海性のサメで人間の目に滅多に触れる機会が無いため、生態は殆ど分かっていませんが、とりあえず『見た目のインパクト』を出すには成功していると言えるでしょう。
肝心の映画の内容に関しては『津波』というシチュエーションこそ特徴的なものの、他の点に関してはそれほど特徴の無い作品って感じですかね?
せっかく『津波』という大規模災害をモチーフにしているのに、シチュエーションの半分ぐらいが『監視小屋に閉じ込められている状況』なので、世界の広がりが弱くて今ひとつ盛り上がりに欠けるのは難点ですねぇ。
もっと広い範囲での災害の様子を描いて、『ライフセイバーの若者達が孤立した人々を救出に向かう』みたいなシチュエーションの方が良かったかも?
(まあ、ソレはソレで予算がかかりすぎるって問題もあるんでしょうが…)
自己犠牲をいとわないような『熱血漢風の主人公達のキャラクター』は良い味を出しているので、もっと『燃えるような展開』が準備されてれば結構盛り上がる作品になったと思うので、ちょっと残念なところ。
サメの襲撃シーンに関しては、序盤のダイバーやパラグライダーの若者が襲われるシーンとかはインパクトがあるのですが、中盤以降の襲撃シーンは『イメージ映像』による一人芝居みたいなノリが強くなって面白味に欠ける印象。
サメは基本的にCGで描かれているのですが、CG故に人間との絡みのシーンは弱めなのは致し方ない部分でしょうか?
ラストの対決シーンも矢鱈とアッサリした感じだったので、全体的にもうちょっとビジュアルのインパクトが欲しかった…
総評としましては、上記のように色々と不満点は多いものの『B級の生物パニック映画』としては及第点レベルの作品って感じかなぁ?
『作品のアイデアや設定は面白い』のですが『内容に関しては凡庸』というのが、ちょっと残念な印象の一本ですねぇ。
もうちょっとシチュエーションを活かせるだけのセンスか予算があれば、もっと面白い作品になったと思うのですが…
まあ、そこまで出来の良い作品では無いですがとりわけ酷い部分も無い感じですので、生物パニック系の作品だ大好きで『人食いザメものの映画』に飢えてるようであれば、試しにチェックしておいても損は無いかもしれませんよ。