■■■「CARGO カーゴ」■■■
(60点/SFサスペンス:結構オススメ)
2267年、環境破壊によって地球上に住む場所を失った人類は、地上を捨てて宇宙ステーションで生活をおこなっていたが、宇宙ステーションも疫病の流行によって既に劣悪な環境になりつつあった。
宇宙に新天地を求めた人類は、太陽系外にある殖民惑星・レアへと移住を進めつつあったが、現状では裕福層しか移住が行えない状況だった。
新米医師のラウラは移住の費用を稼ぐ為に、片道4年かけて外宇宙のステーションへと荷物を運搬する貨物船『カサンドラ』で働く事となるが、3年8ヵ月後にコールドスリープから目を覚ました彼女は、自分以外の全ての乗員が冷凍睡眠している筈の船内で何者かの気配を感じ取り…
地球上に住めなくなった人類が殖民惑星に新天地を求めた未来世界を描いた、スイス製の
SFサスペンス映画。
サンダンズ映画祭だかのファンタジー系の映画祭で賞を受賞した作品という事なのですが、最初に予告とかを見た際は、てっきりホラーとかスリラーっぽいお話かと思っていたのですが、物凄くSFらしい内容の本格的なSF映画でした。
序盤は、普通にスリラーっぽい展開でお話が進んでいくのですが、中盤からちょっと意外な方向へとお話が展開していき、最終的に物凄くスケールの大きな話へとなっていくのですが、その壮大になっていく過程がストーリー的に無理なく描かれているのは非常にストーリーテリングの上手さを感じました。
序盤の雰囲気作りとかもなかなか秀逸で、いかにも無機質でSF的なデザインと寂れた不気味な貨物船という印象を併せ持つ美術デザインもなかなかに素晴らしいです。
ラスト付近の『人間社会』について色々と考えさせられてしまうような、ちょっと重い感じの展開も面白いですね。
ただ、良く出来ている部分が多い作品だとは思うのですが『無理の無い展開』を重視しすぎたせいもあってか、全体的にストーリーが地味で尺も長めの作品であるため中盤辺りがちょっと中だるみする印象があるのは難点かなぁ?
ハードSFを意識した感じのノリは嫌いでは無いのですが、もうちょっと派手な演出があるか、もしくは展開が強引でも良いのでテンポ良くお話が進んだ方が良かったかも?
総評としましては、派手さは無い作品ですが『未来社会を描いたSFサスペンス映画』としては、なかなかに良く出来た佳作レベルの作品だと思います。
見た目の雰囲気以上に『重い』作品なので、ちょっとだけ人を選ぶ作品だとは思いますが、いわゆる『SF小説』とかが好きな人ならなかなか楽しめる一本ではないかと…
逆にスリラー的な要素は割と弱めの作品ですので、そっち方面に期待してるとちょっと肩透かしを食らっちゃうかもしれませんので、「エイリアン」とかそういうノリを期待してる人は間違って借りてしまわないよう要注意ですよ。