NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ブレード・ハンズ」(55点/スラッシャー)

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■■■「ブレード・ハンズ」■■■
(55点/スラッシャー)

 ホラー映画ばかり見ているホラーマニアの女子高生のメアリーは、ある日より悪夢にうなされて夢遊病のように街を徘徊するようになっていた。

 医者に睡眠薬を貰って治療を続ける彼女だったが、その症状は日々悪化していくようになり、父親からも疎ましがられるようになっていく。

 しかしその数日後に唐突に父親を事故で失った彼女は、それ以来、自分の周りに不気味な男の人影がつきまとっている事に気付くようになり、やがて自分の願った『悪い願い』だけが現実になっている事に気付くのだった…


 ホラーマニアの女子高生が『自分の観たホラー映画の怪人の姿にそっくりの殺人鬼に悩まされる』という、スラッシャーホラー映画。

 パッケージやタイトルを見ると、なんとなく『殺人鬼版「シザー・ハンズ」』って印象を受ける作品ですが、ノリ的には「シザー・ハンズ」とは似てもに似付かぬようなお話です。

 ストーリーとしては、とあるホラーマニアの女子高生が全米で大ヒットとなった「The Wisher」という映画を見たところ、その日から映画の中の殺人鬼にソックリの怪人に付け回されるようになって…

 って感じの展開なのですが、この架空の劇中劇が「ウィッシュマスター」を連想させるタイトル内容ですし、殺人鬼の武器も『フレディの刃物付きグローブ』を意識してるっぽい印象を受けるので、どっちかって言うとウェス・クレイブン監督作品のオマージュ的な作品ではないでしょうか?
 (まあ、殺人鬼の外見はエドワードっぽいですけど…)

 お話の内容の方は、いかにも『パクリ映画』って感じのタイトルやパッケージの割には、意外とキチンとした作品という印象。

 大ヒットホラー映画である「The Wisher」に隠された秘密とかの設定も面白いですし、ミスリードを誘うような演出で最後まで『先の読めない展開を描こう』という努力もなかなか悪くないです。(でも、実際にはオチはみえみえでしたが…(笑))

 ところどころに見られるウェス・クレイヴン作品を意識した演出とかも、ファンならばニヤリとしてしまうレベルですし、本作の監督が『ホラー映画を好きで作ってるんだなぁ…』という事が伝わってくる部分が多くて、個人的には嫌いじゃ無いタイプの作品ではあります。

 ただ、描きたい方向性は良く分かるんですが、全体的に実力も予算も不足していた感じかなぁ…

 ストーリーに練りこみ不足の部分が多くみられる事や、学園ものスラッシャー映画の割にはメインの登場人物の個性が描ききれていないのは辛いところ。
 そして何よりも、サスペンスやホラーとしての演出も弱いうえに予算も少ないせいもあって、とにかく全体的に迫力不足なのが難点ですねぇ。

 特に、この『迫力不足』の影響で中盤がダレてる印象があったので、中盤辺りに『もう少しキッチリとした見せ場』があれば良かったかなぁ?

 あと余談ですが、ラストで一応『全ての謎解きがなされた』みたいな終わり方をしてますが、最初の『ヒロインの夢遊病の原因』って結局何だったんでしょう?
 アレって件の映画を見る前から発生してたから、映画とは関係なさそうですし…


 総評としましては、悪くは無いし方向性や狙いも分かるんだけど…非常に残念な事に『凡作のB級ホラー』って感じの作品ですね。

 まあ『とりあえず見れる程度のレベルの作品』ではありますので、学園スラッシャーホラー映画とかが好きな人であれば『興味があれば観ておいても良いかも?』って程度の一本だと言えるでしょう。

 全体的に磨けば光る物はありそうな印象を受ける作品でしたので、この監督が『もうちょっとマトモな予算のあるTV映画』程度を撮る機会があれば、観て見たい気はしますね…