■■■「ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学-」■■■
(65点/スリラー)
医師のジョンとエマと娘のメアリーの一家は、夏休みの休暇を過ごす為に共に森の奧にある別荘を訪れる。
メアリーは街で働く友人のペイジに会うために街へと向かうが、再会した彼女たちは街で知り合った若者に誘われるがままにモーテルへと訪れたところ、脱獄囚である若者達の仲間に拉致されてレイプされたうえに、ペイジは殺害されメアリーは銃で撃たれて瀕死の重傷を負わされる。
車の事故で負傷した若者達はそのまま街から逃走しようとするが、激しい嵐の中で偶然にも近くにあったジョンの別荘へと転がり込む事となり、事情を知らないジョンは彼らのケガの治療を行うが、やがて瀕死のメアリーの姿を発見して真実を知る事となり…
娘を襲われレイプされた医者の夫婦が無法者達に復讐するという、バイオレンススリラー映画。
70年台に「エルム街の悪夢」のウェス・クレイブン監督と「13日の金曜日」のショーン・S・カニンガム製作によって作られた「鮮血の美学」のリメイクに当たる作品なのですが、リメイク版の本作の製作にも両監督が関わっているという割とシッカリと作られた本格的なリメイク作品ですね。
実は私は本作のオリジナル版を観た事が無いのですが、本作もなかなかどうして結構良く出来たスリラー作品に仕上がっていると思います。
映像表現的に序盤の少女達が暴行されるシーンも何だか妙にリアリティがあって怖いですし、中盤の医者夫婦が逆襲に乗り出すパートも、ホントに『生きるか死ぬかの殺し合い』って感じでエグいですね。
過剰な描写はあんまり無いのですが、それ故に逆に『妙な現実味』が感じられて、なんとも言えない不快な気分にさせてくれます。
ただまあ、オリジナルはもっとエグくて悪趣味な内容(奥さんが悪党のペニスを噛み千切ったり、旦那がチェーンソーで切り刻んだり)だったみたいだけど、バイオレンス映画として描くなら流石にそこまでしなくても本作のレベルで十分かな…って気はしますね。
ちなみに本作はオリジナル版では娘が序盤で殺されているらしいのですが、重傷を負わされた娘がまだ生きてて『娘の命を救う為に両親が命がけで戦う』ってシチュエーションも、復讐への嫌悪感を無くしつつ緊張感を与える為の良いスパイスになっていると思いますし…
そういう意味では本作の『オリジナルのニュアンスのみを抽出したリメイク』ってのは、洗練されたイメージで、なかなか良い感じだと思いました。
ただ本作で気になった点としては、序盤がちょっとダラダラしすぎてて冗長な印象があるかなぁ…って部分でしょうか?
オリジナル版は、バイオレンス描写を描く事を主題としていたっぽいので、序盤がダラダラと長くても良かったのでしょうが、サスペンス色が強くなった印象のある本作では序盤の展開はもうちょっと『簡潔な描き方』でも良かったかも?
あと、オチの『微妙に後味の悪い感じ』は良いのですが、ラストのアレは無理に必要なかった気も…
(まあ、オリジナル版へのオマージュ的な意味があるのかもしれませんが…)
総評としましては、全体的に『なかなかに良く出来たバイオレンススリラー映画』だと思います。
特にオリジナル版を知らなくても全く問題が無い作りだと思いますし、ちょっと過激めのバイオレンスとかスリラーが好きな人なら、なかなかに楽しめる作品では無いかと…
ただ、ウェス・クレイブン&ショーン・S・カニンガムという、ホラー界のビッグネームが揃いすぎているので、過剰な期待を持ってしまうとちょっと肩透かしを食らってしまうかも?
とりあえず、小粒なスリラー映画を観たい人であれば割とオススメ出来る作品だと思いますので、その手のジャンルが好きなら観ておいて損は無い作品だと思いますよ。