■■■「ホーンテッド・フライト」■■■
(25点/オカルト)
機内で起こる怪奇現象をウリとする小さな航空会社である『スケア・エア』は、少人数の怪奇趣味の乗客を相手に赤字経営での運営を続けていた。
アリゾナの砂漠で、魔王を封印した伝説の秘宝『ソウル・キャッチャー』を発見したオカルト思想の大富豪が、この航空会社の警備の甘さを狙ってNY行き709便へとを乗せて秘宝を運ぼうとする。
しかし魔王の復活を目論む『組織』の人間も、この秘宝を狙って同じ飛行機へと乗り込んでおり、『組織』の人間によって秘宝から開放された悪霊の力によって機内は大パニックへと陥っていくのだった…
弱小な航空会社の飛行機が機内に持ち込まれた『魔王の封印された箱』の力によって大パニックに陥るという、航空パニック風味のオカルトホラー映画。
何といいますか『設定だけは物凄く個性的な作品』ですな。
そもそも『怪奇現象を売りにしている航空会社ってどんな設定だよ!?』って感じで、物凄くインパクトのある作品を期待して観てみたのですが…
肝心の中身の方は、設定だけの『出オチ作品』って感じの内容でした。
お話の流れ的には『怪奇現象をウリとする航空会社の機内に「魔王」が封印された箱が持ち込まれる』という感じの設定のお話なのですが、『怪奇現象をウリとする航空会社』と『魔王』との間には全く関連が無く、全ての設定がダダ滑りしている印象。
というか、冒頭の『設定の説明の部分』意外では『怪奇現象をウリとする航空会社』って設定は全く活かされてないですし『いったい何のために、そんなファンキーな設定を付けたんだ?』って感じ。
『魔王が封印された箱』に関しても設定としてはありがちですし、お話の流れ的に『封印が解かれる舞台を航空機の上』にする意味は全く無いですし、とにかく『面白そうな設定』が本編に全く活かされておりません。
(怪しげな「組織」が箱を奪うにしても、わざわざ逃げ場の無い『航空機の上』を狙うメリットは全く無いですしね…)
何か『面白そうな設定』を考えて話を作ってみたんだけど、シナリオを書いてみたら設定が全く活かされておらず『完全に蛇足』になってしまっており、どの方向を狙って作ったんだかサッパリ分からない作品になってしまったという感じ…
特撮のレベルとかもかなり酷くて、残虐表現はCGと血糊で誤魔化しつつも『まあ見れるレベル』ではあるのですが、箱から出現する『悪霊』が『骸骨の人形を紐で釣っただけ』にしか見えない(一応、CGでソレっぽく加工はしてありますが…)のは、流石に笑うしか無いレベル。
ストーリーに関しても、中盤の過去を回想する『謎解きパート』はそれなりに見れますが、飛行機の上でのシーンはグテグテ感が酷くて内容は殆ど無いも同然のレベル。
ラストも『えっ、そんなアッサリしたオチで良いの?』って感じの終わり方ですし、もうちょっとどうにかならなかったものかなぁ…と思います。
総評としましては、とにかく設定は面白そうなのに『色々と酷いレベルの作品』としか言いようが無い『物凄く残念な出来のオカルトホラー映画』って感じの作品です。
この『設定だけは個性的で面白そう』なのが曲者なので、イロモノ系のホラーが好きな人なら惹かれる部分もあるかもしれませんが、その辺の設定はことごとく活かされておりませんので、ソッチ方面に期待して観る場合は注意が必要です。
逆に最初から完成度は諦めて『ネタ映画』として観るならば、それなりに楽しめる作品かもしれませんので、『B級映画にツッコミを入れたくてしょうがない人』ならばネタとして観てみるのもアリかもしれませんよ。