NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ワナオトコ」(65点/スリラー:結構オススメ)

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■■■「ワナオトコ」■■■
(65点/スリラー:結構オススメ)

 金庫破りの前科を持つ内装業者のアーキンは、元妻のした借金を返済するために再び罪を犯す事を決意し、自分が施工を担当した宝石仲買人の豪邸へと侵入する事となる。

 しかし侵入した屋敷で奇妙な物音を聞いた彼は、何者かによって留守の筈の家人が屋敷に監禁されているのを発見し、家人から『もう一人の侵入者』の存在を知らされる。

 危険を感じた彼は家人と共に屋敷から脱出しようとするが、既にドアはロックされて家の窓には板が打ち付けられて自分がこの屋敷に閉じ込められた状況で、更には屋敷の至る所に謎の侵入者によって危険なブービートラップが仕掛けられていたのだった…



 金庫破りの男が忍び込んだ屋敷で謎の殺人鬼と対峙するという設定の、ソリッドシチュエーション風スリラー映画。

 なんか聞いたことが無い題名ですしタイトルからして凄いショッパそうな印象を受ける作品ですが、なかなかどうして意外と良く出来た掘り出し物でした。

 お話としては、『金庫破りの為に屋敷に侵入した盗賊が偶然にも先に侵入していた殺人鬼と出会う』って感じの展開で、いわゆる閉鎖環境型のシチュエーションスリラー映画。

 お話の設定的には主人公に同情の余地は無い感じなのですが、捕らわれた家人を救う為に奔走したり、一度は脱出に成功していたのに幼い少女を救う為に屋敷へと舞い戻って殺人鬼と対峙するというシチュエーションはなかなか熱いですね。

 なかなか面白い脚本だなぁ…と思いきや、なんでも「ソウ4~6」のスタッフが製作に関わっているとかで、まあ「ソウ4~6」はサスペンスとしてはイマイチですが『ホラーとして見ると割と良く出来た作品』なので、確かに納得な出来栄えです。

 一応、R-18の規制がかかった映画ですので、残虐表現は割と強めで一部でかなり痛そうな表現とかもありますが、そこまで凄いインパクトのあるものは無くて『グロ映画』って程の印象では無い感じ。
 つかコレがR-18なら、ソウのシリーズとかの方がもっと規制が厳しく無いとおかしいと思うので、わざわざR-18にするほどじゃ無いんじゃないかなぁ?

 本作のウリである殺人トラップは、オーソドックスなものから陰湿なものまで色々。
 個人的には粘着する酸のトラップは、なかなか嫌らしくて面白いシチュエーションだと思いましたが、トラップを売りにするならば、もう少し「ソウ」シリーズのような『嫌らしいトラップ』が多くても良かった気はします。

 そんな感じで、残虐描写のあるホラーとしては『及第点』のレベルなのですが、むしろホラーとしてのシチュエーションよりも、スピーディーなストーリー展開やアクションシーンの完成度がこの手の映画としては非常に高くて、総合的にかなり好印象を受けた作品って感じですかね。

 面白い作品なのですが難点を挙げるならば、殺人鬼の個性が乏しくて対決シーンで今ひとつ面白味に欠ける印象がある事かな?
 ストーリー的に盛り上がるシチュエーションが多いので、殺人鬼の個性が薄いのは少々もったいない印象です。

 殺人鬼のセリフが全く無いのは不気味さを出す演出として良いとは思うのですが、もうちょっと『個性を表現するような演出』があっても良かったんじゃないかという気がするのですが…
 (良い作品なんだけどシリーズ化とかを考えるには、ちょっと殺人鬼の個性が弱すぎる気がしたので…)


 総評としましては、ホラーとして見ると若干の物足りなさ(というか食い足りない印象)は残るものの、『全体的に非常に良く出来たシチュエーションスリラー映画』だと思います。

 シチュエーションスリラー系の作品が好きな人や監禁ものホラー系の作品が好きな人であれば、ごく普通に楽しめるレベルの作品だと思いますので、そういうジャンルが好きであれば間違いなくオススメ出来る作品だと言えるでしょう。

 パッケージだけ見ると非常に地味な印象を受ける作品ですが、中身の方は『佳作レベルのB級ホラー』だと言っても問題が無いような作品ですので、良質のB級ホラーを求めている人ならば観ておいて損は無いタイトルだと思いますよ。