（５５点／アクションホラー）
モハベ砂漠にある一軒の寂れたダイナーで恋人のジープとともに働くチャーリーは、出産を間近に控えたある日に、客として訪れた一人の老婆が突如としてゾンビのような怪物に変身して、来客を襲いはじめるという異常事態に遭遇する。
老婆をなんとか撃退した彼らは店外へと逃げようとするが、ゾンビに襲われ重傷を居った客を病院へと車で運ぼうとするが、店外は突如として現れた羽虫の大群に取り囲まれて店内へと閉じ込められてしまう。
そんな折、混乱する彼らの元へ大量の銃器を携えたミカエルと名乗る男が訪れ、怪物化した老婆は『神の軍団』に取り憑つかれた人間で、彼らの狙いは『人類の最後の希望』となるチャーリーの赤ん坊だという驚くべき事実を告げる。
最初はミカエルの言葉に半信半疑の彼らだったが、やがて怪物化した人間が続々とダイナーを取り囲み始め…
人類を守るために神の意思に背いた大天使ミカエルと、異形の軍団である『神の軍団（レギオン）』との戦いを描いたアクションホラー映画。
『神の軍団』と大天使ミカエルとの戦いとかって、一見するとスペクタクル巨編か何かのような印象を受ける設定ですが、実際の内容は『人類の命運を賭けた戦いが、何故か人里離れた寂れたダイナーで行われる』という、いかにもＢ級な感じのアクションホラー映画ですね。
やたらと壮大な設定の割には『中身の方はたいしてお金がかかってない内容』という感じの、なんとなく「ターミネーター」の１作目辺りを連想していただければ、イメージの近い作品かも？
お話そのものはアメコミとかグラフィック・ノベル的なノリで、まあそこそこ面白いですが、『大風呂敷を広げた設定の割には地味な内容だなぁ』ってのが正直な感想。
序盤の展開も妙に冗長ですし、主人公達がダイナーに立てこもって銃撃戦で戦うシーンも『天使に操られてゾンビ化した人間』を一方的に撃ちまくってるだけのシーンが多くて、今ひとつ緊張感が無いんですよね。
全体的なテイストは悪くは無いのですが、どうにも物足りなさが残る印象です。
一応、主人公達が篭城している間も人類全体は『神の軍団』と戦っているという設定らしいのですが、作品の中ではそういう実感が無くて『スケール感が感じられない』って事が小ぢんまりとした印象を与えている気がするので、もっと『人類全体が共闘しているんだ』ってのを明確に感じさせるような、演出なりカットなりがあれば良かったかも？
ただ、本編の見せ場となる大天使ガブリエルとミカエルとの対決のシーンは、なかなか良く出来ており、『銃弾を天使の羽で弾くシーン』とか、『ドリルみたいに先が回転するメイス』とか、いかにも中二病っぽくてカッコ良いカットも多かったので、どうせコミック的なノリを描くのであれば、そういった要素を全体的にもっと持たせても良かったんじゃ無いかと…
オチの『２人の天使の対決』の落としどころは捻りが効いてて面白かったですが、人類の命運を握る筈の主人公達の方のラストはちょっとアッサリしすぎなので、もっと『主人公達が人類の命運を賭けて戦っている』ってのが実感できるような演出が欲しかったかな？
総評としましては、全体的にツマんなくは無いお話なんですが、いかにも『普通のＢ級アクション映画』って感じで『どうにも物足りなさが残る作品』ってのが正直な感想です。
もうちょっとガンアクションに注力するなり、中二病臭い設定に力を入れるなりすれば化けたかも…って気はするのですが、どちらも月並みで終わってしまっているのが惜しいところですかねぇ。
その手の設定の作品が好きであれば『普通に楽しめるレベルの作品』ではあると思うのですが、それ以上でも以下でも無いって感じですので『強くオススメするには至らないかなぁ…』ってのが正直なところです。
まあ特筆するような要素は少ないものの、予告とかを見て気になっているならば、観ておいても損はしないレベルではあると思いますので『個人のお好みで…』って感じの作品でしょうか？
