■■■「笑いながら泣きやがれ」■■■
(60点/サスペンス)
アルコールと麻薬の依存症で落ち目のコメディアンであるジョーイは、離婚した元妻と娘の養育費のために借金がかさみ、家賃すら払えないような貧困にあえぐという、どん底のような生活を送っていた。
そんなある日の酒に泥酔した翌日に、彼は『アパートの大家を暴行した』という身に覚えの無い傷害罪で警察に逮捕されてしまう。
なんとか釈放されたものの住居を失ってしまった彼は、町で偶然に再会した士官学校時代の友人であるフランクのところに住まわせて貰う事となるが、フランクは部屋を使わせる代わりに『士官学校時代のメンバーとの同窓会に出席すること』という奇妙な条件を要求してきて…
売れないコメディアンがふとしたきっかけから巻き込まれる奇妙な事件の顛末を描いた、イギリス製のサスペンス映画。
パッケージとか雰囲気とかを見る限り、なんとなく『退廃的な若者の生活を描いたスタイリッシュな感じの作品』ってイメージを受けますが、実際に本編の内容の方もだいたいはそんな感じで、そこまでスタイリッシュな絵作りではないものの、いわゆる『雰囲気映画』のテイストを持った作品ですね。
ただ単なる雰囲気映画ではなく、キチンとサスペンスとして成立している作りになっており、独特のテイストと相まってなかなか面白い作品になっている感じですね。
お話としては『主人公の過去にまつわるサスペンス』なのですが、純粋にストーリーだけ見るとサスペンスとしては弱い印象。
説明不足な部分が多かったり、序盤~中盤の展開も少し冗長気味な部分があったりするのですが、そこは『雰囲気映画』である独特のテイストのお陰で、観ていて気にならない作りなのは上手いです。
オチとかに関しても取り留めの無い感じの結末でありながらも、不思議な清涼感を感じさせるエンディングは非常に良い味を出してて、割と好みな落としかたかも?
ただ全体的に、この手の作品にありがちな『だから、結局なんなんだよ?』って感じのお話ではあるので、その辺の趣味が合わない人は観てて退屈に感じてしまう作品かもしれません…
あと、個人的には『主人公とマネージャーとの絡み』の辺りとか、そこそこ尺を割いた割には物凄く中途半端な感じで投げっぱなしになってしまっている気がしたので、もうちょっとハッキリと描いてくれた方が好みだったかなぁ…
総評としましては、独特のテイストがあり割と良い感じの『雰囲気重視のサスペンス映画』って感じの作品ですねぇ。
個人的には結構好きな作品のですが、この『ちょっとこジャレた感じのテイスト』ってのが好きかどうかで評価が分かれる作品だと思うので、その手の作品が好きで且つサスペンスが好きな人なら恐らく楽しめる作品ではないかと…
本格的なサスペンスとかミステリーのノリを期待していると、ちょっと肩透かしを食らわされるかもしれませんので、そっち方面はあまり期待せずに見ると良い感じかもしれません。