■■■「キラー・ビー ~殺人蜂大襲来~」■■■
(55点/サスペンス)
フランスの地中海沿岸部のバニエールという小さな町で、海水浴客の一人がシュノーケリングの最中にミツバチに襲われて命を落とすという事件が発生する。
その後も、同様に凶暴化したミツバチによる被害者が住民の間に続出した事から、医師のフランソワは原因を調査するために養蜂家のクレマンティーヌの元を訪れるが、彼女の飼っていたミツバチを含めて周辺の養蜂家のミツバチが巣箱から大量に集団失踪しているという驚くべき事実を発見する。
事件を重く見た彼らは、ミツバチが唐突に凶暴化した原因を究明しようと調査を行い危険を伝えるために市長へと警告を発するが、市長は逆に生物学者である彼女が遺伝子操作によってミツバチを品種改良したのでは無いかと疑いを抱き…
突然変異により凶暴化したミツバチの群れが地中海の小さな町を襲うという、フランス製の生物パニック映画。
フランスで製作されたTV映画だと思うのですが、なんと言いますか良くも悪くも『物凄くオーソドックスな生物パニック映画』って感じの作品ですね。
突然変異によって凶暴化したミツバチが居て、それに気付いた研究者が市長に警告を発するんだけど、町はおりしもフェスティバルの準備期間中で話を取り合わずに、そのうち大きな被害が発生する…
という、まるで『生物パニック映画のテンプレート』に沿って脚本を書いたかのような、なんとも分かり易い展開。
しかし『テンプレに沿っただけの作品』ではなありがらも、全体的になかなか良く出来た印象の作品ではあったりします。
まず登場人物のキャラの立て方がなかなか上手いのに加えて、主人公やヒロインの周辺の人間関係も分かりやすくて、ドラマパートがなかなか面白い。
登場人物の個性が非常にシッカリと描かれているので、ストーリーにリアリティが感じられて説得力があるのは良い感じですね。
また、最近話題になっている『ミツバチの大量失踪』をネタとして取り入れてる辺りも、時事ネタ絡みで良いアイデアだと思いますし、終盤の『謎解き』なんかも理にかなっていて意外と脚本がシッカリと作られている印象。
逆にある程度リアリティを重視した結果なのか、あるいは予算的に厳しかったせいなのか、パニックシーンが全体的に地味で盛り上がりに欠けるのは残念な部分ですねぇ。
モンスターの襲撃方法も、単なる『ミツバチの群れ』なので普通に群がって刺すだけで面白味は弱いですし、「スウォーム」みたいに空を覆いつくすほどのハチの大群が出てくる訳でもないのでビジュアル的なインパクトも弱いですし、もうちょっとハッタリを効かせたネタや演出があっても良かった気はします。
特にラストシーンがあっけなさすぎたので、ラストぐらいはもっと盛り上がるネタを仕込んでおいてもバチは当たらなかったんじゃ無いかと…
あとどうでも良い事ですが、この映画のパッケージに思いっきりスズメバチ(ホーネット)の絵が描かれてますが、本編に登場するのは普通にミツバチ(ビー)でした。
何ゆえに、こういう無意味な改変をするんだろうか…
(だいたい、「キラー・ビー」って邦題を勝手に付けたのも日本なのに…)
総評としましては、非常にオーソドックスな作りで地味な内容ながらも『それなりに良く出来た生物パニック映画』って感じの作品ですね。
やや小ぢんまりとまとまりすぎた作品の感はあるので、もうちょっと派手さがあればオススメできるレベルになったと思うのですが、そういう意味ではちょっと残念な作品ではありますね。
とりあえず強く推すような映画では無いですが、生物パニックものが好きな人ならば普通に楽しめる程度の作品だと思うので、そういうジャンルが好きであれば、観ても後悔はしないレベルの一本だと思いますよ。