NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「シェルター」(55点/サスペンス)

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■■■「シェルター」■■■
(55点/サスペンス)

 精神分析医であるカーラは、多重人格が犯罪者の罪の言い逃れに利用される事から、『解離性同一性障害を実在しない』と主張するスタンスを取っていた。

 そんなある日、彼女は『デヴィット』と名乗る男の診察を行うこととなるが、彼の診察中に『アダム』と名乗るもう一つの人格が現れる。

 実は『デヴィット』こそが『アダム』の副人格だと知った彼女は、彼のケースも患者が医者を混乱させるために演じている愉快犯ではないかと疑うが、その後、調査により『デヴィット』は25年前に死亡した故人の人格である事が判明する。

 更には、調査すればする程に『デヴィット』が実際に25年前に殺された人物の人格では無いかと思われるような事実が発覚。

 それに加えて、やがて彼の体の中から『死亡したはずの人間の人格』が次々と現れるようになり…



 奇妙な多重人格患者とその患者にまつわる謎の現象を題材とした、ジュリアン・ムーア主演のオカルトサスペンス映画。

 最初にパッケージとか予告だけ見た時は『サイコスリラーっぽい話なのかな?』と思ってたのですが、その実態はインディアンの呪術師とかが登場するというガチガチのオカルト映画っぽいお話でした。

 映画の中身の方は、サスペンスとしてはなかなか秀逸な作りの作品で、特に序盤~中盤にかけての謎解きパートの『興味の惹き方』や『手がかりの提示の仕方』は良く出来ている印象。

 映画全体の尺が長めなのでちょっと引っ張りすぎな感はありますが、事実が少しずつ判明していく展開はなかなか面白いですし、主人公を含めたキャラの立て方も上手くて観ていて退屈しない作りなのは良いですね。

 ただ、肝心の謎が解けてからの展開が今ひとつなのは残念なところ。

 多重人格の原因と正体とかの提示も矢鱈と唐突ですし、視聴者としてはそんなネタを急に振られても『えっ、何それ?』って感じだし、『信仰心を失った』とか言われても実感が湧かない設定なので…あまりにも『キリスト教圏的なネタ』故に、日本人的には怖さが感じられないのは困りもの。

 終盤に関しても、解決策が全く見えないままストーリーだけグングン引っ張られて行くので、ちょっと展開がグテグテ気味になってしまったのは難点かなぁ?

 演出とか雰囲気とかは非常に良くて、ネイティブアメリカンの呪術師の不気味さとか、犠牲者の死体の表現やフラッシュバックっぽい映像演出とか、観ていてなかなかに『良い感じの部分』も少なくないんですが…

 演出や引っ張り方は上手いのに、肝心のストーリーが突っ込みどころが多くて今ひとつ面白く無いという感じなので、もうちょっとストーリーがシッカリと作られてれば…と思うところしきりという感じです。
 オチも、もう一捻り欲しかったなぁ…って感じの落とし方ですしね。


 総評としましては、雰囲気やら映像センスやら悪くない部分も多いのですが、全体的に『インパクトが薄くて印象に残らない作品』ってのが正直なところですかね…

 悪くは無いんですけど、本作を敢えて推すほどの要素があるかと言われると『それほどでも無いかな…』と答えてしまうような印象。

 まあ、オカルトサスペンスとしては及第点は満たしている作品だとは思いますので、その手のジャンルが好きであれば観ておいても損はしないタイトルだと思います。

 強くプッシュするほどじゃないですが『そこそこ観れるレベル』の作品ではあるので、『気になるならばお好みで』って感じの一本だと言えるでしょう。