■■■「ディノシャーク」■■■
(50点/モンスター)
船での世界放浪の旅からメキシコのプエルトリコへと戻ってきたトレイスは、友人の留守の間クルーザーで観光客をクルージングに案内するという商売を引き継ぐ事となる。
旧友達を再会し旧交を温める彼らだったが、再会の翌日に海で泳いでいた友人の1人であるリタが謎の水棲生物に襲われて命を落とすという事件が発生。
偶然にも海で奇妙な巨大生物を目撃したトレイスは、彼女を殺したのが謎の怪物なのではないかと疑いを抱き、海洋学者のキャロルと共に怪物の正体を突き止めようと調査を開始するが…
恐竜時代から蘇った謎の巨大生物が人間を次々に襲うという、モンスターパニック映画。
タイトルは「ディノシャーク(原題もDINOSHARK)」となっており、パッケージにも思いっきりサメの絵が描いてあるのですが、サメではなく魚竜の一種である『モササウルス』が登場する生物パニック映画ですね。
モササウルスと言うと、いわゆる『ヴァン湖の怪物』とかで少し有名になった『サメの胴体にワニの頭をくっつけたみたいな水棲恐竜』ですが、他にこの生物を題材にしてる映画ってあまり見た事が無く(敢えて言うと「プライミーバル」のエピソードの一つに出てきたぐらい?)、本作の貴重な個性だと思うんですが…
何ゆえに巨大ザメ映画と勘違いさせるようなパッケージにしたのか、ちょっと謎です。
映画の内容の方は、『ロジャー・コーマン御大の製作による生物パニック映画』と言ってしまうと、古くからのB級映画ファンであれば想像が付いてしまうような感じですが、実際の中身の方も概ね『想像通りのレベルの作品』と言ったところ。
物凄く無難な作りの作品といった感じで、『北極の氷山のなかから蘇った古代生物が海流に乗って南下してきてメキシコに出現』というお約束な感じの設定に、怪物の存在が最初は信じてもらえずに『街でフェスティバルが行われている最中に怪物が出現して街が大パニックになる』とか、まあ何ともコテコテすぎる感じの内容ですが、コーマン製作の作品としては悪くは無いレベル。
怪物はCGと一部(頭のみ)に実際のモデルが作られて撮影されたようですが、この辺は流石にコーマンは手馴れたもので低予算ながらも違和感のないパニックシーンが上手く撮影されています。
CGのクオリティもなかなか高いのですが、コレはやっぱり他の番組向けに作成されたCGを流用でもしたのかも?(プライミーバルみたいにBBCの恐竜番組から借用したのかな?)
とりあえず、特撮シーンの出来は総じて『B級作品としては良い感じ』なのですが、今ひとつ印象に残るようなシーンが無くて、ちょっとアッサリしすぎかなぁ?
お話の内容に関しても、先述したとおりに余りにもテンプレートに則りすぎて面白味が無いので、『本作ならでは』という個性が全く感じられないのが惜しいです。
『悪くは無い』んだけど『良い部分』も特に見当たらなくて、とにかく『印象に残らない映画』って感じで、全体的にもう一捻り個性が出せてればそこそこ楽しめる作品になってたかもしれないので、ちょっと勿体無い印象を受ける作品でした。
総評としましては、なんともありがちな内容の『ごく普通のB級生物パニック映画』って感じの作品でした。
全体的に悪くは無いんですが、『敢えて本作を観るほどの魅力となる部分があるか』と言われると悩ましい感じなので、誰かにオススメするかと言われると何とも微妙なところ…
ただ別にツマんない訳でもないので、TVとかで放映されてるのをサクっと観る分には、普通に楽しめるレベルの作品ではあると思います。(あるいはレンタルが半額の時にでも観てみるか?)
モササウルスという『他にはあまり無いタイプの題材』を扱っているので、恐竜マニアであれば興味本位で観てみても後悔しないレベルの作品ではあると思いますので、そういう方面で気になるようなら、チェックしてみても良いんじゃないでしょうか?