■■■「ファイナルデッドオペレーション」■■■
(60点/スラッシャー)
ニューオーリンズでパーティーに参加した5人の若者のグループが、飲酒運転で帰宅の最中に深夜の森の中で事故を起こしてしまう。
しかも、どこかの病院から逃げ出してきたと思しき患者が車の下敷きになっている事に気付く。
やってきた救急車に患者が搬送されるタ際に、彼ら自身も怪我の治療を行うために患者と一緒に病院へと搬送される事となるが、搬送先で仲間の1人が重症を負っていた事が判明し緊急手術を行う事となってしまう。
自分達の診察と仲間の治療の終了を待つ彼らだったが、病院内で出会った職員や入院患者の様子に徐々に不審なものを感じるようになり…
『マッドな医師の支配する病院』へと搬送された若者達が遭遇する恐怖の体験を描いた、スラッシャーホラー映画。
タイトルには「ファイナルデッド~」とかって付いていますが、「ファイナルデッド」シリーズとは全く関係のない、ゴア風味が強めの医療系のホラー映画ですね。
まあ、ぶっちゃけて言うならば『キチガイ医師の居る病院に運ばれた若者達が殺人鬼に切り刻まれたり切り刻んだりする映画』って感じで、本気で「ファイナルデッド」シリーズと似通った部分(死の予言とかそういうフィーチャー)とか1ミクロンも無いんですが、何を思ってこの作品に「ファイナルデッド」の冠を付けたんだろう?
(ちなみに原題は「AUTOPSY(検死)」ってタイトルです。)
内容的には、いわゆる『痛そうな表現』系の作品で、本作の監督は「ツールボックス・マーダー」とか「サスペリア・テルザ」の脚本を書いた監督さんだそうで、確かにトビー・フーバーやダリオ・アルジェントの影響を受けてる印象は受けます。
特にアルジェント監督の影響が顕著に見られる感じで、妙に『安っぽいライティング』で不気味さを演出する手法とか医師の『奥さん』の演出とかは、アルジェントの過去作品ぽいイメージを感じさせますね。
ストーリーに関しては、ぶっちゃけ『有って無いも同然』のようなお話なのですが、導入部分やシーンの盛り上げ方は及第点といったところ。
また中盤までの展開は、それなりに見せ場があるものの『ちょっとダラダラした印象』で盛り上がりに欠けるのですが、中盤以降の展開はなかなかエゲつなくて良い感じ。
この手のホラー映画ではありがちですが、『何でマッドな人たちは麻酔とかせずに手術をしようとするかなぁ…』というツッコミを居れずには居れないぐらいに、『エグい表現』や『痛そうな表現』が好きな人ならば、そこそこ満足できるレベルだと言えるでしょう。
キャラクターの個性もそこそこ立っており、特に「ターミネーター2」のT-1000役のロバート・パトリックが演じるマッド医師の不気味さは、なかなか良い感じ。
ただ、『奥さん』への愛情がもう少し狂気を感じられるような演出があれば、更に良くなってたと思うので、その辺はちょっと惜しいところ。
ラストの『救いがあるんだか無いんだか良く分からない感じ』の、唐突な投げっぱなしオチも良い感じですし、近年のこの手の作品のなかでは『なかなかの良作』と言っても良いレベルでは無いかと…
総評としましては、傑作と言えるほどの『突き抜けた凄さ』は無いものの、要所要所は満足できる程度に良く出来ている『佳作レベルのゴア系ホラー映画』って感じの作品ですね。
いわゆる、痛い表現系の「ホステル」とかそういう系列の映画が好きならば、割と普通に満足できる作品だと思うので、その手の映画が好きな人であればチェックしておいて損は無い作品と言えるでしょう。
あと、ちょっとだけアルジェント監督っぽさも感じられるので、そういう系列に興味があるならば観ておいても良いかもしれません。
この手のジャンルのホラー映画って前評判の割に肩透かしのものが多いですが、本作は特に鳴り物入りでもなかった割には良く出来ていたと思うので、ちょっとした掘出し物って感じの一本でしたよ。