NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「センチュリオン」(60点/アクション)

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■■■「センチュリオン」■■■
(60点/アクション)

 西暦117年の古代ローマ帝国
 ブリテン島の北部に駐屯していた精鋭部隊である第9軍団は、敵であるピクト人の将軍・ゴーラコンの暗殺を命じられる。

 しかし、襲撃の最中に逆に敵の待ち伏せに遭遇して舞台は壊滅、逆にローマ帝国の将軍の将軍のウィリルスが敵の手によって捕らえられてしまう。

 奇襲を生き延びた百人隊長(センチュリオン)のクィントスは、将軍を敵の手から奪還するために、生き延びたわずか6人の仲間と共に敵の本拠地への潜入を行おうとするが…


 「ドッグソルジャー」や「ディセント」で知られるニール・マーシャル監督による、ローマ帝国史を舞台としたアクション活劇映画。

 お話の舞台がローマ帝国史という事で、パッケージとかの売り文句でニール・マーシャル版の「300」的な扱いを受けてましたが、どちらかというと『7人の精鋭が成功不可能な任務に挑む』という設定からしローマ帝国版「七人の侍」』という方がイメージとしては近い感じかも?

 一応、ローマ帝国史に残る謎とされる『消えた第9軍団』をモチーフとした作品だそうですが、流石にこの時代では史実も良く分からないので話半分のファンタジーアクション的なスタンスで楽しむのが良いかと…

 作品としては、日本で劇場未公開だっただけあって「300」のようなスペクタクル巨編って感じじゃなく、小粒なB級アクション映画といったノリの作品ですね。

 アクションシーンとかの見せ場はそこそこあるのですが、あまりド派手で大規模な戦闘シーンとかは無くて、中規模な部隊どうしの小競り合いが行われるという印象。

 ただ、この戦闘シーンがニール・マーシャル監督らしく、映像表現が非常にバイオレンスでブルータルな作りで、鎧ごと相手の頭を叩ききったり斧でカチ割ったりと過激なシーンが多く、下品なぐらいに血の赤い色が強調されていたりして、なかなかに見応えはあります。
 逆にそういうのが苦手な人だと、ちょっと辛いレベルかも?

 ストーリーに関しては中盤辺りからの展開が、ちょっと地味で拍子抜けする感じではありますが、どんな逆境に陥っても決して仲間を見捨てようとしない主人公のキャラクターは非常に好感が持てる良い味を出していますし、主人公の敵役である女戦士も不気味さとカッコ良さを兼ね備えててなかなか良い感じ。

 ただ7人シリーズを踏襲した作品としては、生き残った7人の兵士が必ずしも『何かのエキスパート』という訳でも無いので個性が埋もれがちなキャラが居て、全体的に見せ場の乏しさを感じてしまったのは残念なところかな?

 ラストの落とし方とかもなかなか上手くてストーリーとしては面白かっただけに、もう少し尺が長くて大規模戦闘のような見せ場が豊富に用意されてれば、かなり面白い作品になったと思うので、ちょっと惜しい感じです。

 ただ、全体的に良く出来た映画だとは思うのですが、今までケレン味の強い作品を撮ってきたニール・マーシャル監督の作品としては、ちょっと『普通すぎる』印象で物足りなさを感じるってのも正直なところ。

 今までの監督の作品からすると『もうひと捻り』が欲しかったなぁ…と感じてしまうのは流石に贅沢を言いすぎですかね?


 総評としましては、全体的に悪くない完成度の『普通に良く出来たアクション映画』って感じの作品ですね。

 西欧系の『歴史アクション活劇』みたいなノリの作品が好きならば、ごく普通に楽しめるレベルの作品だと思うので、その手の作品が好きな人ならば観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。

 あニール・マーシャル監督のファンであれば、若干の物足りなさは感じるかもしれませんが、ところどころに見るべきところもありそれなりに楽しめる作品ですので、チェックしておいても損は無いと思いますよ。

 ただ「ドゥームズデイ」にせよ本作にせよ、この監督はアクション映画を撮るとそこそこ良く出来た『普通の作品』になってしまう傾向があるので、もっとホラーとか理不尽系の作品をバンバン撮って、その才能の真価を発揮して欲しいところですよ。