■■■「U.M.A. レイク・プラシッド3」■■■
(60点/生物パニック:結構オススメ)
家族と一緒にブラックレイクの湖畔の屋敷へと引っ越してきた少年のコナーは、引っ越してきた先の湖で数匹の小さなワニを見つけ、好奇心から彼らに餌付けを行うようになる。
しかし彼らが引っ越してきてから2年後、ワニたちは見る間に大きくなり、彼の手の負えないほどのサイズへと成長してしまう。
やがて、湖の周辺で飢えたワニたちの仕業によって野生動物が殺害されるという事件が発生するようになるが、遂にはワニたちは彼の周りの人間や彼自身すらもエサとしてみなすようになり…
アメリカのメイン州の片田舎の湖に巨大なワニが出没し人々を襲うという、生物パニックホラーシリーズ第3弾。
巨大ワニを題材にした生物パニック映画の佳作シリーズで、特に変化球では無いものの1作目の出来が非常に良くて人気の出たシリーズなのですが、このシリーズも遂に3作目です。
一応は正統なシリーズ続編という位置づけで、ストーリー的にも繋がりのある内容で、本作の主人公は1作目だかで『ワニを飼っていたオバサン』の甥とかって設定になってるようですね。
お話の流れとしては、『アメリカの片田舎の湖に唐突に巨大ワニが出没する』というプロットは変わらないのですが、子供がワニにこっそりとエサをやって育てるというプロセスが描かれてたりと、ちょっと今までのシリーズとは雰囲気が異なる印象ですね。
(といっても、「ウィラード」とか「ベン」とかみたいに、『孤独な子供とワニとの友情』みたいなものが描かれる訳でもありませんが…)
また、大まかな流れは『湖にやってきた観光客や密猟者がワニに襲われてみたり…』といった感じのオーソドックスなものなのですが、ストーリーの細かい部分がなかなか凝っており、『ワニを育てている子供と親の親子の確執』が描かれたり、メインの主人公以外に『もう一組の主人公』みたいな人たちが居てそちらとパラレルにストーリーが進行したりと、単純にドラマとしても割と良く出来ていたりします。
ただお話そのものは面白いものの、ちょっと登場するキャラクターの魅力が薄くて『イマイチ感情移入しきれなかった』のは残念な部分ですかねぇ?(脇役の密猟者のオバちゃんは、物凄く良い味を出してたと思うんだけど。)
あと映画そのものは割と良い出来なんですが、全体的に特撮のレベルが今ひとつなのは非常に残念なところ。
前作にあたる2作目がTV映画だった事から本作もTV映画かビデオ作品だと思うのですが、予算的に厳しい部分もあるのかCGの出来がちょっと微妙な感じで、ワニと人間との絡みのシーンが多い割にはワニのCGが浮いて見えるシーンが多いのは辛い部分。
あとCGとして処理の難しい『水の表現』とかがあからさまに不自然で、水辺のシーンとかが多い本作としては厳しい部分ではありますね。
巨大ワニのキャラクターは非常にパワフルで、乗用車を加えて引きずり回したり湖から逃げる主人公達を追って町中までやってきて大暴れしたりとなかなか魅力的に描かれているので、この『特撮のレベルがいま一歩』なのはホントに勿体無いところですよ。
コレでCGがもっと良く出来ててもっと映像に迫力があれば、かなり良い感じの作品になったと思うんだけどなぁ…
あと、どうでもいいツッコミどころとしては『メイン州に巨大ワニ多すぎだろ!!』というところでしょうか?(笑)
シリーズの伝統的に本作でも『7mを超えるような巨大なワニ』が出没するのですが、クロコダイルがいくらデカくなると言ってもあのサイズになるには数十年はかかる筈なので、あんなデカいワニがシリーズ通して何匹も出てくるのは流石に無理があるだろう…って感じ。
一応、シリーズを通して徐々にワニのサイズが小さくなっていっている(1作目は10m以上あった)ので、その辺は配慮しているのかもしれませんが…(ただ、2作目はステロイドか何か食わせてデカくしてたんでしたっけ?)
まあそんな枝葉末節な部分は、お話が面白ければどうでも良いんですけどね。
総評としましては、細かな不満点は多いもののそこそこのパワフルさと見所を備えた『佳作レベルのB級生物パニック映画』って感じの作品ですね。
惜しい部分やツッコミどころは散見されるのですが、それを差し引いても楽しめる要素も多いですので、巨大生物ものが好きな人ならばごく普通に楽しめるレベルの映画だと言えるでしょう。
ただ1作目と比べちゃうと厳しい部分は多いので、あそこまでの完成度は期待しない方が良いかな?
とりあえずCGの安っぽさにさえ目をつぶれば割と良く出来た作品なので、この手のジャンルに興味がある人ならば観ておいても損の無い一本だと思いますよ。