■■■「パラノーマル・エンティティ2」■■■
(10点/オカルト)
2006年のアメリカの郊外。
超常現象を研究するフランクリン博士らは、33人の少年を殺害し死刑となった殺人鬼である『ジョン・ゲイシー』の家にカメラを持ち込み、心霊現象を撮影するという実験を行う事となる。
屋敷にのあちこちにビデオカメラを設置して、7人のチームにより泊り込みでの撮影が行われるが、撮影から数日後、現場からは6人の遺体とともに当時の様子を撮影したビデオテープが発見される。
この映画は、そのビデオテープを編集したものである…
死刑になった連続殺人鬼の実家で起こった恐るべき心霊現象の一部始終を記録したという設定の、POV(主観視点)形式のオカルトホラー映画。
「パラノーマル・アクティビティ」のパクリ映画である「パラノーマル・エンティティ」の続編という位置づけの作品で製作は前作と同様にASYLUMなのですが、続編といっても特にストーリー的な繋がりとかはありません。
というかオリジナルの続編がまだ公開されたばかりだと言うのに、パクリの方はすでに続編までビデオ化とかフットワーク軽すぎですな。(笑)
前作はパクり映画と言いつつも、割とオリジナルを踏襲した作りで想像以上に良く出来ていたのですが、本作の方はと言いますと…
ぶっちゃけ『これは酷い』としか言いようが無いような出来の作品になってますな。
一応、『殺人鬼の実家で心霊現象を撮影した研究チームの残したビデオ映像』という事になっているのですが、そもそも作りからしてPOVらしくなくて『作り物感』がありまくりで全く臨場感がない。
カメラアングルや編集や演出が『映画であること』を意識しすぎててリアリティがなくて、登場人物も『研究者のチーム』とは全く思えないぐらい演技が芝居がかりすぎてて、とにかく物凄く胡散(うさん)臭い。
POVはいかにも『実録ビデオ』っぽいリアリティがウリの筈なのに、そういった要素が全くなくて、どちらかというと日本の『なんちゃってドキュメンタリービデオ』とかにありがちな『実録シリーズ』のようなノリで、とにかくチープでわざとらしくて観ていてイライラします。
それでも、徹底して『ドキュメンタリー』を意識してリアリティを突き詰めた作りならば、まだ許せるんですが、霊能者のお姉ちゃんはさっきはギリシャ神話の神に祈ってたと思ったら次はケルト神話の神の名前を出してきたりと設定はグチャグチャ。
更には、スタッフの中に撮影の最中にセックスを始めるバカが居たりというありえない脚本は、流石にめまいを感じるレベル。
(現実にバカが居たとしても、死後に勝手にセックスシーンをビデオで公開とかせんだろう…)
終盤までの展開は、『人影が写った』とか『物音が聞こえた』とかって程度で登場人物たちが大騒ぎするだけで面白味も全く無くて、むしろダラダラした展開を苦痛に感じるレベルですし、終盤はちょっとだけ盛り上がるものの盛り上がり始めたと思いきや、ラストは『パンツ一丁(っぽくみえる)のデブのオヤジの霊が唐突にスタッフを皆殺しにして終わり』というだから何なんだというような投げっぱなしのオチ。
正直言って、D級ぐらいの内容の『幽霊屋敷もの』をとりあえずPOV風にしてみました…って感じのノリで、ぶっちゃけ『このシナリオ展開ならPOV形式にする理由って全く無いだろ?』と感じたのは自分だけですかね?
総評としましては、正直言って『どこを誉めたら良いのか分からないレベル』のかなりどうしようも無い作品です。
前作はパクリとは言え『そこそこ観れる作品』だったので少しだけ期待してたのですが、本作は前作の良い部分を全てスポイルしてしまったような感じで、『どうしてこうなった?』ってレベル。
少なくとも「パラノーマル・アクティビティ」的なノリの部分は微塵も残って居ないですので、そういった作品に期待して観ると思いっきり肩透かしを食らってしまうので要注意ですよ。
まあ、敢えて『ツッコミを入れるためのネタ映画』として観るならば、そこそこ楽しめるかもしれませんので、そういう映画を求めているというのであれば『お好みでどうぞ…』って感じですかねぇ?