■■■「パンドラム」■■■
(60点/SFアクション)
2174年の未来。
人口増加により危機に陥った人類は巨大宇宙船『エリジウム』を建造し、地球と似た環境を持つ惑星への移住計画を実行しようとしていた。
しかし航海途中の当直としてコールドスリープから目覚めたバウアー伍長たちは、自分たち以前の担当の当直が誰も居らず宇宙船内部のシステムの電源が切れ、室内が荒れ果てているという異様な光景に遭遇する。
彼らはコールドスリープの影響による記憶障害に悩まされながらも事態の究明を行おうとするが、以前の当直クルーのものと思われる死体を発見し、この船には自分たち以外の『何者か』が潜んでいる事を知ることとなるのだった…
宇宙船のクルーたちが船内に潜む凶暴な獣人の群れに襲撃されるという設定のSFアクションホラー映画。
「バイオハザード」シリーズの映画化でおなじみのポール・W・S・アンダーソンの製作による作品という事ですが…
同監督のSFホラーというと真っ先に「イベント・ホライズン」を思い出すのですが、イメージ的にかなり似通った部分が多い作品で、ぶっちゃけ焼き直しというか『アクションシーンが増えて派手になった「イベント・ホライズン」』みたいな作品ですねぇ。
お話としましては、『宇宙船内で目覚めたクルーたちが、襲いくる正体不明の獣人の群れの襲撃から生き残りを賭けて戦う』みたいな話で、怪物はゾンビというか野蛮人みたいな感じの集団です。
なんとなくこの設定を聞いただけでも、お話のプロットやメインの流れが読めてしまいそうな感じですが、中身の方も実際におおよそ想像通りの内容の作品ですね。
ヒロインが怪物と激しい格闘アクションで戦う様子は、なんとなく「バイオハザード」を彷彿とさせ、宇宙船版の「バイオハザード」という印象。
ただ、単純に「バイオハザード」っぽいアクションホラーでは無くて、事件の謎解きに『ちょっと捻った要素』が含まれてたりするんですが、この要素が「イベント・ホライズン」っぽい感じで、早い話が「バイオハザード」+「イベント・ホライズン」みたいなお話と思っておけば間違いないかと…
映画のテンポも良くアクションシーンも割と派手で、全体的にB級ホラーとしては及第点…というかむしろ割と出来が良い部類ですし、更に「バイオハザード」+「イベント・ホライズン」っぽい内容とくれば、ポール・W・S・アンダーソン監督のファンであれば『凄く面白い作品なんじゃないか?』と思ってしまいそうなものですが、惜しむらくは内容的に『どちらも越えれていない』という事。
ストーリーの類似性に加えて、宇宙船の美術デザインとかも「イベント・ホライズン」を彷彿とさせる部分が多くて、どうにも全体的にデジャヴを受けまくりで『ああこれ、どっかで見たことあるわ』という印象を終始抱いてしまうために、新鮮さが全く感じられないのは困りものです。
ポール・W・S・アンダーソン監督もメジャーになってきた事だし、マイナーだった頃の初期作品のセルフリメイクっぽいものを作りたかったのかもしれませんが、あまりにもイメージがそのまんますぎるので、もうひと捻り欲しかったってのが正直な感想でしょうか…
総評としましては、アクションも映像もストーリーも割と高いレベルでまとまった、全体的に『良くできたアクションホラー映画』だと思います。
ただ、「バイオハザード」と「イベント・ホライズン」を観たことがある場合は、終始『どっかで観たような話だなぁ』という印象を抱いてしまうような内容なので、そういう人なら評価から-5点ぐらいの印象かなぁ?
作品自体の出来は悪くないと思いますので、『宇宙船版バイオハザード』みたいな内容に興味があるのであれば、とりあえずチェックしておいても損はない作品だと思いますよ。
(特に上記の2本を観てない人であれば、普通に楽しめる作品だと思いますし…)