■■■「モンスター・マウンテン」■■■
(45点/モンスター)
アメリカのルイジアナ州にあるリンカーン山の周辺で原因不明の地震が続発するという現象が発生。
地質学者のエミリーは原因を調査するために現地へと赴くが、山岳地帯で異常なまでにCO2濃度が上昇している事を発見。
かつての恋人で地元の技師であるトマスと共に山を調査中に『巨大な触手』を目撃した彼女は、地底を巨大な何者かが移動している事を確信するが…
旧約聖書に登場する『巨大な獣』とされる「ビヒモス(ベヒモス)」を題材とした、モンスターパニック映画。
本当に『山ほどの大きさ』を持つ巨大なモンスターが登場するという、モンスター映画というよりは『怪獣映画』とでも言う方がふさわしいような作品ですね。
お話のプロットとしては、死火山である山岳地帯で謎の群発地震が発生して原因を探るうちに…という、ままありふれた感じの設定です。
原因不明の地震とかCO2濃度の上昇とかがあったりと『謎の提示』を挟みつつお話が展開して行くのですが、全体のテンポは悪くは無いものの怪物が登場するまでが長くて、本編のラスト20分ぐらいしか怪物が登場しないので、どうしても物足りなさを感じてしまうのは残念なところ。
ストーリーに関しては割とツッコミどころが満載で、主人公の父親である元大学教授が怪物の事を研究しているのですが、別にリンカーン山にマヤの遺跡とかがある訳でもないのに唐突に『マヤの伝説の怪物が覚醒する』とかって予言してみたりと設定的に無理がありすぎる展開。
(というか、マヤの伝説とベヒモスって何か関係があったっけ?)
また、主人公たち以外にアメリカ軍の特殊部隊が群発地震の調査をしているんだけど、何故か彼らも『山の中に巨大生物が眠っている』って事を前提に調査を行っており、おまけに『怪物を倒すための秘密兵器』まで準備しているという周到さで、アメリカ軍はどんだけ柔軟性のある思考を持った暇人の集まりなのかと…
(たとえ世界各地で同時に地殻変動が発生したからといって、それが『巨大生物の仕業』とは考えんだろう…(笑))
肝心の怪物のデザインはなかなか良くできており、大量の触手と巨大な足を生やした『ヤドカリとワニガメを掛け合わせた存在』のようなデザインはなかなかカッコ良いです。
また山の頂上を覆いつくす程の巨体が出現するシーンは、割と迫力があって良い感じ。
ただ、あまりにもデカすぎて『人間との絡み』が薄い事や、出現するのがホントにお話の終盤なので『暴れるシーンが殆どない』のは、とにかく残念なところですね。
もっと、その巨体を活かして街を破壊するような『スペクタクルなシーン』を見せて欲しかった。
また山の頂上を覆い隠す程の巨体なのに、歩兵用のロケットランチャーみたいな武器の一発で倒されてしまうのは、あまりにも物足りない…
この辺は、ホントに海外の映画スタッフって『怪獣映画の事を分かってないなぁ』と思いますよ。
(そこは最低でも、戦闘機による航空支援は呼ぶべきだろ!!)
総評としましては、モンスター映画としては並ぐらいのレベルの作品だと思うのですが、怪獣映画的な視点で見ると『なんとも物足りなさを感じてしまう作品』でもあるってのが正直なところ。
映画そのものはツマんない訳ではないので、その辺がもうちょっと『怪獣映画を分かった作り』になってるか、もうすこし『モンスターの暴れるシーン』が多ければなぁ…とは思うのですが、まあTV映画っぽいですので予算の都合もあるんですかねぇ…
とりあえず、その手の作品が好きな人であれば『物足りなさ』は感じるであろうものの、それなりに楽しめる作品ではあると思いますので、気になる人はチェックしておいても良いレベルの一本ではないかと思いますよ。